この記事は Agent Grow Advent Calendar 2023 6日目の記事です。
2024年の干支、それは辰(たつ)です。
干支での辰は、伝説上の竜(龍)を指し、そのイメージ通り隆盛を表し、昨年の卯、一昨年の寅と並んで物事が上手く進むといわれています。
十二支では唯一の空想上の生き物ですが、竜(龍)は私たちにとって身近な存在でもあります。
それは竜とは水の守り神でもあり、荒れ狂う河を竜に例えて治水を行ったり、雨乞いの象徴にもなりました。竜とは荒ぶる力の象徴であり、人知の及ばない神秘の象徴にもなりえたのです。
そんなわけで、日本には様々な「竜」にまつわる神社やお寺が存在し、今なお信仰の対象として時にひっそりと、時に大胆に人々の前に姿を見せてくれます。
今回はそんな竜にまつわる神社やお寺のちょっと変わった場所を、東西からそれぞれご紹介します。
中には「パワースポット」として特に有名な場所もあるので、今年の干支のパワーを得るべく、訪れてみるのもお勧めです。
1.【東】方位を守る五色五種類の龍神が祀られている田無神社
西東京市にある田無神社は、鎌倉時代に建立された由緒正しい神社で、級津彦命(しなつひこのみこと)・級戸辺命(しなとべのみこと)、大国主命の三柱を主に祀っています。
ちょっと聞きなれない級津彦命(しなつひこのみこと)・級戸辺命(しなとべのみこと)という神様は、実は風を司る男女の神様。
日本でも、奈良県の龍田神社に祀られているくらいで、あまり馴染の深い神様ではないかもしれません。
田無という地名は「田がないほど水に乏しい地域」からきているそうで、雨雲を呼び込む風の神様への信仰が、田無神社の源流となっているそうです。
しかしながら、ここ田無神社ではこの二柱は「金龍」の姿で祀られていて、五行思想と結びついて境内に「黒龍」「白龍」「赤龍」「青龍」の五龍神の像があり、それぞれに様々なご利益を齎してくれると一部でとても有名だったりします。
実は、映画スラムダンクに五龍神を祀った神社のモデルとして登場したり、キンプリの高橋海人さんと片平なぎささんが「池を作る企画」で龍神池を作った事からキンプリの聖地と言われていたり、話題に事欠かない神社でもあります…!
そんな田無神社の龍神様は、それぞれの方位に合わせて五柱おり、異なるご利益を司っています。
その内訳は以下の通りで、まさに自分の希望にあった龍神を探してお参りする事ができます。
金龍:運気向上、幸福招来
黒龍:健康増進、家内安全
白龍:金運向上、良縁成就
赤龍:勝運向上、成績向上
青龍:技芸向上、就業成就
また、境内には巨大な銀杏のご神木にも龍の名が冠されており、「撫でると金運が上がる撫龍」「横綱大鵬が寄贈した土俵」「飼われている烏骨鶏のウコちゃん」など、中規模くらいの神社ながら、歴史ある神社だけに実に色々な縁起物が集まっています。
純和風の結婚式などもここで行っているようで、私が訪れた時もちょうど、一組の結婚式が行われていました。
五龍神を祀る田無神社は、来年の干支「辰」パワーを得るのには、絶好の神社かもしれません。
2.【西】日本三大「龍穴」のある治水と縁結びの貴船神社
今やスピリチュアルだけでなく、パワースポットとしても耳にする事のある「龍穴」という単語。
元は陰陽道や道教、風水などで、繁栄したり何らかの活力を得られるとされる「土地」に根差す言葉だったようです。
日本各地にはこの龍穴と呼ばれる場所が幾つもありますが、特に強力なパワーが集まるとされる「日本三大龍穴」が、奈良県の大和室生龍穴、岡山県の備前龍穴、そしてこれから紹介する京都の貴船神社の龍穴です。
貴船神社は美しい川の渓流沿いに建立された全国二千社を数える水神の総本山で、水神の高龗神(たかおかみのかみ)もしくは闇龗神(くらおかみのかみ)を祀っています(この神様は同一とされています)
京都の水源「貴船川」の源流を守る神社であり、古来、歴代の朝廷からの信仰も厚い由緒正しい神社です。
高龗神は「雨をもたらす神様」で、古来から干ばつの際に歴代天皇が黒馬を奉納し、降雨を願った由緒正しい神社です。なお、長雨の場合は白馬を奉納し、今度は闇龗神に雨が止む事を願ったそうで、降雨と止雨を司る神であり、水を扱う事から料理人や水の仕事に携わる人々からも信仰されている神様です。
この高龗神(たかおかみのかみ)の「龗(おかみ)」は古語で「龍」を意味する言葉だそうで、ここにも龍との繋がりが垣間見えます。
貴船神社の本宮から少し行った先に、龍穴のある「奥宮」があります。
ここには、この貴船神社の創建を行った神武天皇の母親である玉依姫も祀られており、この神様もまた龍神とされています。
多くの日本人には竜宮城に住まう「乙姫様」という呼び方の方が身近かもしれません。
かつて文久年間(1861~1863)の本殿修理の際に、大工が誤ってノミをこの穴の中に落としてしまったところ、にわかに突風が吹きあがって、ノミを吹き飛ばしたという逸話が残されています。
ちなみに、現在では縁結びの神様(そして縁切りの神様!)としても信仰を集めており、かの有名な丑の刻参りの由来も持っていたりします。
また、天皇が旱魃に黒馬、長雨に白馬を奉納していたのがやがて「願掛けに絵の馬を奉納する」形へと変わった事で、「絵馬発祥の神社」ともされています。
まさに干支「辰」にふさわしい、歴史と由緒ある貴船神社。
京都に訪れた際は、この強力な龍穴のあるパワースポットを訪れて、そのパワーとご利益を享受されてはいかがでしょうか。
3.【東】日本に道教のお寺!? 五千頭の龍が昇る聖天宮
埼玉県坂戸市の田園地帯に、巨大な敷地に建造されている煌びやかなお寺を見る事が出来ます。
ただしこのお寺、日本の仏教のものではありません。なんと、台湾の人が建立した「道教寺院」なのです。
五千頭の龍が昇る聖天宮は、台湾人の貿易商、康國典(こうこくてん)氏が40代半ばで大病を患い、その後道教の神様の教えによって回復した事に由来しています。
道教の最高神「三清道祖(元始天尊、太上道君、太上老君の三柱)」より賜った夢のお告げによれば、生まれた台湾ではなくなんと日本の、しかもまだ当時雑木林に覆われた埼玉県坂戸市にお寺を立てるようとの事、台湾より一流の宮大工を呼び寄せ建設すること15年、平成7年にようやくお寺が完成したとのことで、その名の通りお寺の至る所に龍が彫刻されています。
その中はまさに台湾、異国情緒あふれるお寺の中をめぐると、台湾旅行に行った気分になれます。
ちなみに、ご本尊の前には道教のお参りの仕方を教えてくれる方もいらっしゃいます。
ちなみにお寺の脇には台湾土産を売っている自販機(!)もあるので、日本に居ながら台湾旅行気分を味わう事ができるスポットと言えるでしょう。
4.【西】阪神タイガースを勝利に導いた廣田(ひろた)神社と「龍」
38年ぶりに日本一を飾った阪神タイガース、そのタイガースの選手たちが毎年優勝を祈願する神社が、兵庫県西宮市にある廣田(ひろた)神社です。
主に祀られているのは天照大神の荒魂である撞賢木厳之御魂天疎向津媛命(つきさかきいつのみたまあまさかるむかつひめのみこと)で、なんと「日本書紀」にも創建の事が書かれているという、とても古くて由緒のある神社です。
ちなみに「西宮市」の名前の由来も「京の西にある重要な宮」として廣田神社を指した事から付いた名前で、まさに西宮の歴史そのものと言っても過言ではない神社です。
阪神タイガースは結成の昭和11年当初から、実に90年近くに渡って毎年、この勝運の神である廣田神社に優勝祈願を続けており、非常に縁の深い関係です。
そんな廣田神社に「トラ」ではなく知る人ぞ知る「龍」の水墨画がひっそりと飾られています。数々の必勝祈願の絵馬が飾られたその社の天井に、多くの人の願いを見守る様にして描かれたのがこちらの龍。
タイガースを勝利に導き、今とても霊験あらたかな廣田神社にお参りされる際は、こんなところにも居る龍の姿を探されてみるのも面白いかもしれません。
5.【西】厄神さんの眷属たる龍王の壁画がすごい! 門戸厄神と厄神龍王
門戸厄神東光寺は、あらゆる厄災を祓うとされる厄神明王が祀られているお寺です。
地元では「厄神さん」として親しまれており、私も子供のころから年始には厄神さんにお参りに行っていました。
東光寺は829年に弘法大師こと空海によって、厄除け祈願が行われた際に創建されたお寺で、空海が刻んだ三体の厄神明王像のうちの一体が安置されています。
そんな厄神明王の眷属が「厄神龍王」で、その姿を実に30メートルの壁画として見る事が出来るのが、ここ東光寺です。
辰年は節目の年でもあり、厄神明王のご利益がある「厄除け」の厄もまた、人生の節目に訪れる様々な問題を指すとされています。
厄神龍王の加護を得るなら、辰年にこの厄神さんにお参りに行かれると良いでしょう。
6.まとめ
東西で龍にまつわる神社やお寺のご紹介でしたが、いかがでしたでしょうか。
辰年はこれまでの寅、卯の躍進、跳躍と少し異なり、大きな変化を伴う躍動をもたらす年でもあるとされています。
大きな変化は必ずしも良い事だけとは限らず、様々な問題や激動を招くこともあるとされますが、人事を尽くして天命を待つの言葉もあるように、
人事を尽くした先にある天命を得るために、時にはパワースポットや神仏のご利益を求めてみるのも良いかもしれません。
そんな辰年という事で、年末年始の初詣のご参考にしていただければ幸いです。