この記事はAgent Grow Advent Calendar 2022 23日目の記事です。
2022年4月入社の若狹です!
あくまで私の観測範囲での話ですが、SESという「企業」や「働き方」についてSES企業の経営者のみなさまから発信された言葉はよく見かける1)主にtwitter、noteなどでものの、SES企業に所属する社員からの発信はあまり見かけないなーという印象です。
そこで「高還元SES」2)私としては「高還元SESという呼称はちょっと微妙」と思っていますので、そのあたりの話にも触れていきたいですとも呼ばれることがある新SES企業に所属するイチ社員として、諸々を書いてみたいと思います。
高還元SESとは?
本題に入る前に、まずは「高還元SESってどういうもの?」というところに触れておきます。
そもそも「高還元」とは何を指すのか?……という点ですが、私の認識では明確な定義は存在しないものと思っています。
とはいえ、「高還元SES」と呼ばれる企業における給与体系には、少なからず共通点がある印象です。
その共通点とは、給与が単価と連動することです。
「高還元SES」と呼ばれる企業の共通点として、「単価に対して一定の計算方法によって給与の金額が決められる」という特徴があります。
その指標となるのが「還元率」という数値であり、個人的には「還元率が70%以上くらい」の企業が高還元と呼ばれているのかなー?という印象です。
高還元とは還元率が高いということですね(そのまんま……)
還元率は重要じゃない
一口に「還元率」といっても、その算出方法は企業ごとに違います。
例えば、会社が従業員を雇うことでさまざまな経費が発生しますが、それを原価に含めるか/含めないかなど、その辺の細かい差異がありますね。
例えば下記のようなものが該当します。
・社会保険料(健康保険、厚生年金、雇用保険、こども子育て拠出金)
・交通費
・業務上発生する経費類
・有給休暇
・その他福利厚生(退職金制度や食事補助など)
この「還元率」にまつわる不満の声を目にすることもあり、例えば「還元率の数字の割に支払われる給与が低い」とか、「社会保険の会社負担分が自分の単価から引かれていた」なんて話はよく見かける気がします。
別に数字上どこに含めて見せるかだけの話なんで同じことなんですけども、そういう不満の声を見かけるということは、「説明が不十分である」とか「しっかりした理解を得られていない」という事例があるということですよね。
ちなみに私は、還元率の数字が重要だとは思っておらず、下記の点の方が大切だと考えています。
・給与の計算式や内訳が説明されたかどうか
・給与の計算式や内訳の説明に納得できるかどうか
・実際に自分の給与がどれくらいになるのか
単価と連動するのが大事
私が1社目に勤めていた会社は、いわゆる「従来型のSES企業」でした。
参画先でどれだけ高く評価されても、当時は会社から単価交渉をしてもらえることはありませんでした。3)私自身も20代の平社員が自分で単価交渉をすべきでないと思っていました。
単価は上がらず、運よく単価の高い案件に出会えても給与が上がることもなく、収入を増やしたければ残業するしかないという状況でした。
どうすれば社内での評価を上げられるのかも分からず、スキルアップの意義も感じられず、評価に納得できる点が一つもない……と腐っていく自分に危機感を覚えていました。
とはいえ、「納得感のある評価制度」というのは非常に難しいです。
ここ数年で「給与自己決定制」や「個人評価なしの業績連動制」など、風変りな制度の会社も見かける中で、私は自分がどんな制度ならば納得……とまでは言えずとも、妥協できるのかと考えていました。
その結果、今のところ「契約ベース」の商取引であれば不満をためずに済みそうだと考えました。
つまり私の「エンジニアとしてのスキル」や「ビジネスマンとしてのスキル」を「商品(サービス)」として、需要と供給による価格交渉の余地がある仕組みであってほしい。
そう思いました。
そういう仕組みであれば
自己研鑽をする→サービスの質が向上する→単価が上がる余地が生まれる
=給与UPにつながる
という期待が持てます。楽観的ですが。
劣悪なプロジェクトから撤退しやすい
私が「単価UP」を意識する理由は、「給与UP」以外にも理由があります。
これまでの経験から、単価の低いプロジェクトは治安が悪くなりがちという傾向があると感じているからです。
治安が悪い???と思いましたか。
これは私の独自の表現かもしれませんが、具体的には以下のような傾向があると考えています。
・優秀なエンジニアが集まりにくい
・意思疎通が円滑でない
・コードの品質が悪くなりやすい
・技術的負債が膨れ上がっている
・タスクの要求が明確でない
「リリースから10年以上たっている小規模な製品の追加開発案件」なんかを想像していただけると分かりやすいでしょうか。
もちろん例外はありますが、大きな予算が取りにくい案件では単価も低く抑えられがちで、優秀なエンジニアも集めにくく、品質の向上も難しくなり……といった悪循環になってしまいがちです。
個人の力は微々たるものということもあり、いくら自分が意識高く頑張っても思うように貢献できず、そのツラさに疲弊してしまったりもします。
万が一自分自身が潰れてしまいそうな状況となった場合は早々の撤退を検討するわけですが、このときSESでの契約(準委任、派遣など)ならば契約期間の切れ目などで撤退することが容易……というのはひとつのメリットと言えます。
SESよりフリーランスのほうが良いのでは?
「なんでSES?フリーランスのほうが良いのでは?」という話もありますね。
参画先や知り合いにフリーランスの人がいて、「自分もフリーランスになろうかな?やっていけるかな?」と考えたことがある人は少なくないのではないでしょうか。
そのとき様々な不安、懸念事項がわいてきませんでしたか?
・仕事を得られるかどうか
・事務作業ツラそう
・厚生年金/国民年金
・信用(クレジットカード、ローンなど)
「フリーランスでエージェントを介して仕事を得る」のと「SESで営業社員を介して仕事を得る」のと、自分のやることとしては大きな差はないような印象です。4)実際にフリーランスのエージェントの人と連絡を取ったことがないので、あくまで想像ですが……
フリーランス未経験者として一番実態が分からないのは、「契約書ってどちら側からどういうものを出すのか」や「報酬の請求や振り込まれているかどうかの管理」みたいなところですかね。
SES企業に属しているなら、そのあたりは自分でやらなくて済みます。
あとは一部かもしれませんが「フリーランスNG」案件や、(NGでなくても)フリーランスでは受けられない案件も少なからずありますし、そういう面においてはSESのほうが機会に恵まれていると思います。
私もフリーランスになるか悩んだことがある……というよりずっと頭の片隅で悩み続けるんでしょうけど、少なくとも子どもが小さいうちは無いでしょう。
まとめ
・自社開発より契約ベースの商取引であるSES
・不明瞭であいまいな評価制度より単価評価制度
・社内異動や転職より参画先変更
・今のところフリーランスよりSES
狙ってこの記事を書いたわけではありませんが、上から2つ目、3つ目は要するにエージェントグローが掲げるフェアネス方式®ですね。
「少しでも希望に近い案件に参画したい」という要望を、「案件選択制度」が支えてくれています。
巷ではエージェントグローを非難する話を目にすることもありますが、エージェントグローでは現在の単価、平均単価、粗利率、賞与額の予測額などいつでも見られるようになっています。
私にとって大事なのは、
- 希望する内容の仕事ができるかどうか
- 不満のない額の給与がもらえるかどうか
- 自分の努力によって給与が上がる余地があるかどうか
- 不当な評価がされないかどうか
というようなことであって、還元率の数字が何%かというのは正直どうでもいいと思っています。
新SES企業に所属するイチ社員としてエージェントグローのような新SESを一言でいうと、「そう悪いもんじゃないですよ」ってところですかね。
還元率?なにそれおいしいの(って最近言わないですね!)