SES企業の協業とは?メリットやデメリットを紹介
SES業界では、エンジニアのリソースを確保するために、他のSES企業やIT企業、フリーランスエンジニアなどとの協業が注目されています。
そこで今回は、協業のメリット、デメリットについて解説するとともに、協業可能なビジネスパートナーを探す方法について紹介します。
INDEX
SES企業の協業とは
SES企業の協業とは、ビジネスパートナーであるSES企業やIT企業、フリーランスエンジニアなどと協力してプロジェクトを進めるスタイルのことです。
相互で人材を送り合う契約を結び、双方が抱える人材に関する課題を解決するための協力関係を構築します。企業によっては、パートナー制度など別の言い回しが使われていますが、基本的な考え方は同じです。
受注した案件において、自社のエンジニアリソースが足りない場合に、協業している企業のエンジニアなどに常駐してもらい対応します。
SES企業の協業ビジネスモデルの特徴
協業のビジネスモデルでは、ビジネスパートナーである他のSES企業やIT企業とエンジニアをシェアすることで、安定した人材確保や余剰人材の活用が可能です。
例えば、自社が請け負った案件に対してエンジニアが不足している場合は、ビジネスパートナーに協力を要請し、協業して案件に参画します。
プロジェクトの規模などによって人材の調整が必要なIT分野において、人材資源を柔軟に調整できる協業は、有効なビジネスモデルとして注目されています。
SES企業が協業するメリット
SES企業の協業には、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、主なメリットを3つ紹介します。
人材調整が行いやすくなる
協業を行うメリットのひとつとして、エンジニアの人材調整を行いやすい点が挙げられます。案件の受注状況によっては、稼働していないエンジニアが自社内に多数いる場合があります。このようなときにビジネスパートナーと協業を行っていれば、自社のエンジニアを提供できるため、エンジニアの待機者を減らせるでしょう。
とくに、大規模プロジェクトが終了した後などは、大量のエンジニアが次の常駐先を探すことになります。ビジネスパートナーと協業を行っていればこのような事態にも対応でき、待機者の発生というリスク管理の面でも有効です。
人材不足の解消になる
エンジニアの人材不足に悩むSES企業も、協業を行うことで解決する可能性があります。
経済産業省の「IT 人材需給に関する調査 調査報告書」によると、IT人材は2018年時点で約220,000人が不足しており、2030年には最大で約790,000人不足するといわれています。社会全体でIT人材が不足しているのが現状で、今から新たにIT人材を確保するのは非常にハードルが高いのです。
さらに、各プロジェクトに対応できる最適な人材を見つけるとなると、求人にかかるコストはもっと高くなるでしょう。そこで、ビジネスパートナーと協業することで、専門性の高い人材を必要に応じて供給してもらえるようになるため、求人コストをかけることなく、自社が求める人材を確保しやすくなります。
ビジネススタート時の関係性作りにつながる
SES企業として事業をスタートした場合、新規でクライアント企業を見つけて関係性を構築するのには時間がかかる可能性があります。しかし、ビジネスパートナーと協業を行うことで、まだクライアント企業と関係性を構築できていない状況でも、案件を獲得することができます。
また、そのようにして獲得した案件で成果を残すことで、次に営業をかけるときのポジティブな材料になる可能性もあるでしょう。
SES企業が協業する際のデメリット
SES企業の協業には、メリットだけでなくデメリットもあります。ここからは、デメリットについて解説します。
協業企業との契約期間中に開発が終わらないケースがある
ビジネスパートナーと協業してプロジェクトに参画しても、場合によっては協業契約期間中にプロジェクトが完了しない可能性があります。
例えば、開発プロジェクトが複雑であるほど予想外の問題が発生しやすく、それが開発の遅延を引き起こす可能性があります。また、プロジェクトの要件が頻繁に変更されることによるスケジュールの遅延なども考えられるでしょう。
契約期間内にプロジェクトが終わらなかった場合に再契約できれば問題ないですが、ビジネスパートナーのエンジニアが別のプロジェクトに参画しなければならないといった事情で再契約できなかった場合、リソース不足でプロジェクトそのものが頓挫してしまう可能性もあります。
そのため、ビジネスパートナーと協業する際の契約期間は、予期せぬ遅延などを考慮に入れたうえで、余裕を持たせることが重要です。
優秀なエンジニアとの長期的な関係の構築がむずかしい
ビジネスパートナーと協業した際に、そのエンジニアが優秀な人材であったとしても長期的な関係の構築がむずかしい点はデメリットです。
協業の契約期間中は、そのエンジニアを起用してプロジェクトを遂行できます。しかし、プロジェクトが終わり、別のプロジェクトでもそのエンジニアに協力してもらいたいとなっても、必ず協業できるといった保証はありません。
フリーランスエンジニアであれば、自社への引き抜きを打診することも可能でしょう。しかし、パートナー企業のエンジニアを引き抜こうとした場合は大きな問題に発展しかねません。
優秀なエンジニアと、ビジネスパートナーとして長期的な関係を構築するのは簡単なことではないのです。
要望に合ったエンジニアをアサインできるとは限らない
協業を行うことで多数のエンジニアとつながれますが、そのなかに自社が望む人材が必ずいるとは限りません。プログラム言語は種類が多く、幅広いため、細かい要望に合った人材を見つけることは簡単ではありません。
また、実際にアサインしてもらった人材が、思ったほど活躍できないケースもあります。このようなズレが生じないために、パートナー企業と事前にしっかりと打ち合わせをしておくことが大切です。
保有スキルや経験など細かい要望まで完璧にマッチした人材を提供してもらうのはむずかしいため、ある程度は自社でフォローする必要があるでしょう。
協業可能な企業やフリーランスを探す方法
協業可能なビジネスパートナーを探すには、以下のような方法があります。
・問い合わせフォーム
・交流会への参加
・SNSでの呼びかけ
・テレアポの活用
それぞれの方法について解説します。
問い合わせフォーム
ビジネスパートナーの候補が法人であれば、Webサイトの問い合わせフォームから連絡してみましょう。Webサイトに問い合わせフォームがなく、問い合わせ用のメールアドレスが記載されている場合もあります。
問い合わせフォームを活用した営業は、営業をかける側も営業をかけられる側も負担が少ない方法です。問い合わせによる反響率は3%前後ともいわれているため成功率は低いものの、低コストで隙間時間でもできる営業方法といえます。積極的に取り組んでみましょう。
交流会への参加
SES業界では、業界内の企業と接点を作るための交流会が頻繁に開催されています。大規模な交流会であれば数百人を超える人が参加することもあるため、一度の参加で何十人もの企業の担当者と知り合えるでしょう。参加費はかかるものの、交流会への参加はパートナー企業を開拓するうえで効率の良い方法です。
交流会では、情報交換やコミュニケーションを目的にしている参加者も多いです。交流会を営業の場にはせず、交流会で得た接点から関係性を育てて営業へとつなげましょう。
SNSでの呼びかけ
SNSを活用して、ビジネスパートナーを探すのもひとつの方法です。
ハッシュタグなどを用いて協業先を探している旨の発信を行えば、それを目にしたSES企業の営業やフリーランスエンジニアなどからアプローチがあるでしょう。自社が欲しているスキルを持つエンジニアのフォロワーも、ビジネスパートナーの候補になります。
フリーランスエンジニアは、SNSで自身のポートフォリオを公開している場合があります。魅力的な経歴を持つエンジニアには、こちらからDMなどでアプローチしても良いでしょう。
また、SNSではありませんが、フリーランスエンジニアは、フリーランスエンジニア同士でコミュニティーを形成していることがあります。エンジニアとしての経験や実績を持っていることが参加条件のコミュニティーもありますが、誰でも参加可能なものもありますので、そうしたコミュニティーに参加してビジネスパートナーを探すのもひとつの方法です。
テレアポの活用
テレアポ(テレフォン・アポイントメント)は、ビジネスパートナー探しのオーソドックスな方法です。営業リソースがかかるものの、即効性や効率性に優れ、協業契約の成立につながりやすい手法です。
テレアポでは、相手に長時間説明する時間はないため、端的に自社の強みや特徴、実績などをアピールできるように準備しておくと良いでしょう。
協業依頼の営業を成功させるコツ
協業依頼の営業を成功させるには、どのようなことに留意すれば良いのでしょうか。ここでは、他のSES企業やIT企業、フリーランスエンジニアへの協業依頼の営業のコツを紹介します。
ネットワークの広さや実績などを示す
相手にとって、自社と協業することにどのようなメリットがあるかを示すのが重要です。
自社がどれだけ多くの人々や組織と関わりを持っているか、つまり、自社のネットワークの広さは、言い換えれば新たなビジネスチャンスを見つける能力や、問題解決のためのリソースをどれくらい持っているかを示す重要な指標であり、相手の関心を引くための鍵になります。
また、自社のこれまでの実績や参画プロジェクトは、自社の人材がどのようなスキルや経験を持っているかを示しており、プロジェクトに対して自社がどのような価値を提供できるかを表す重要な情報となります。
契約条件を詳細に説明する
契約条件を詳細に説明することで、ビジネスパートナーが、自社に対してどのようなサービスや成果物を提供すれば良いか明確に理解できます。これにより、契約における両者間の認識の齟齬を防ぐことができるでしょう。
また、契約条件を開示して透明性を保つことで、ビジネスパートナーとの信頼関係を構築できます。これは長期的なビジネス関係を築くうえで不可欠です。
加えて、契約条件を詳細に説明することで、未来のリスクを予測し、事前に対策を講じられます。これにより、予期しない問題が発生した場合でも、その影響を最小限に抑えられるでしょう。
セミナーやイベントを主催する
SESやエンジニアに関するノウハウがある場合、自社でセミナーやイベントを実施し、他のSES企業やIT企業、フリーランスエンジニアとのつながりを作るのもおすすめです。
現在IT人材が不足している企業は多いため、エンジニア関連のセミナーやイベントの需要は一定数あります。また、セミナー開催によって自社の知名度の向上が図れる点も魅力のひとつです。
ただし、セミナーやイベントの開催にはある程度の予算やノウハウが必要となるため、イベントが成功するという明確な見通しが立ってから実施することをおすすめします。
SES企業の協業は日頃から相手との関係性を築くことが重要
IT業界が人手不足のなか、SES企業はビジネスパートナーと協力し、エンジニアを柔軟に調整できる体制を作っておかなければなりません。
エンジニアの調整をスムーズに行いたい企業は、ぜひ他のSES企業やIT企業、フリーランスエンジニアなどと協業やパートナー制度を結ぶことをおすすめします。
ただし、協業を行うと、エンジニアの管理がさらに煩雑になる可能性もあります。そうした問題を解決したい方は、ぜひSES管理ツールの「Fairgrit®」の導入をご検討ください。
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