SaaS型ビジネスモデルとは?特徴や成功につながるポイントを解説

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SaaS型ビジネスモデルとは?特徴や成功につながるポイントを解説

SaaSは、「Software as a Service」の各単語の頭文字を取った言葉です。ソフトウェアをクラウドに保存し、ユーザーが必要な機能を利用できるようにしたサービスやソフトウェアのことを指します。

この記事では、このSaaSにはどのような特徴があり、どのようなビジネスモデルができ上がっているか解説します。また、SaaSビジネスの特徴を紹介し、成功するためのポイントも確認していきましょう。

SaaS型ビジネスとは?

先ほども簡単に紹介しましたが、SaaSとはソフトウェアやサービスをクラウドに保管し、ユーザーが必要な機能をクラウドへアクセスすることで利用できるサービスです。

ユーザーにソフトウェアを購入してもらい、手元のパソコンにインストールして利用してもらう従来のサービスとは異なり、ハードの制限なく利用できる点が特徴的といえるでしょう。

従来型サービスとSaas型ビジネスの大きな違いは「ユーザーがサービスを所有するかどうか」と「料金の支払い方」です。たとえば、音楽や動画配信サービスのSaaS型ビジネスでは、ユーザーは曲や動画コンテンツなどのサービスを所有しません。

代わりにユーザーは、一定の利用料を定期的に支払い、クラウドにあるサービスを継続的に利用できます。ユーザーがソフトウェアを所有する買い切り型のビジネスモデルとは異なり、継続的な利用料収入が見込める点がSaaS型ビジネスの特徴です。

SaaS型ビジネスの5つのメリット

ここからはSaaS型ビジネスの5つのメリットを紹介します。SaaS型ビジネスのメリットを知ることで、どのような面を強みにしてビジネスを展開するべきかがわかります。従来のビジネスとの違いを意識しながら、メリットを確認していきましょう。

ユーザーがソフトウェアを持つ必要がない

SaaS型ビジネスでは、ユーザーはソフトウェアを持つ必要はありません。製品によっては、スマートフォンやパソコン内にアプリなどのダウンロードが必要ですが、多くのものはWeb上で利用できるため、ダウンロードせずにサービスの利用が可能です。

ユーザーにとっては、ダウンロードをしない点以外にも、管理コストが発生しないというメリットも生まれます。何よりもどのハードからでも利用が可能であるため、「ソフトウェアをインストールしたパソコンじゃないから使えない」という悩みを解消できるのです。

企業側にとって安定した収益が得られる

SaaS型ビジネスは、企業にとってもメリットが複数あります。たとえば、ユーザーはサービスを利用する間、継続して料金を支払い続けるため、「継続して安定的な収益を上げる」ことが可能です。

買い切り型のビジネスモデルでは、継続的に収益をあげるためには定期的に新商品を販売し続ける必要がありました。また、新商品がヒットしなければ、利益がでないため、安定したビジネスモデルにすることは難しい一面もあります。

しかし、SaaS型ビジネスにおいては、一度ユーザーがサービス契約すると、サービス利用を続ける限り、継続して収益を得ることが可能なため、安定した収益につなげやすいのです。

原則として常に最新の機能を使用できる

SaaS型ビジネスはソフトウェアがクラウドに保管されているため、半永久的にソフトウェアの更新が可能です。ユーザーにサービスを利用するためのアプリケーションをダウンロードするよう促す必要もないため、企業側のタイミングでソフトウェアのアップデートもできます。

従来の買い切り型のように、商品のアップデートができず、最新の商品に性能面で負けてしまうケースも減らせます。また、ソフトウェアの準備が簡単なため、よりスピーディなリリースも可能です。

従来のビジネスモデルよりも急成長が可能

SaaS型ビジネスは、従来のビジネスモデルでは不可能に近かった事業の急成長が可能です。クラウドで管理するソフトウェアのなかから、ユーザーが自分に最適な機能やサービスを選んで料金を支払う形で利用できるため、幅広いユーザーのニーズを満たせます。

たとえば、ZoomやSlackのように無料で使える機能が多いサービスを全世界に公表できるため、利用ユーザー数を急激に伸ばせる可能性を秘めています。

その後サービスの機能を理解し、さらに使いたいユーザーにはサブスクリプションサービスの購入を促せるため、ユーザー数の多さがそのまま収益に直結するでしょう。

買い切り型のビジネスモデルだと、無料で製品を提供することが難しいため、SaaS型ビジネスと同じような経済成長を目指すことは難しいです。

顧客獲得と育成ができる

SaaS型ビジネスでは、無料で限定的なサービスを提供して顧客となるユーザーを獲得できます。いわゆる「試供品」を提供できるわけです。

買い切り型も試供品の提供はできますが、性能が大きく制限されてしまいますし、試供品を渡した時点でユーザーとの接点は切れてしまいます。しかし、SaaS型ビジネスでは、無料でサービスに登録したユーザーに顧客としてさまざまなアプローチができます。有料版の宣伝を行うだけではなく、他の製品の紹介を行うことも可能です。

また、ユーザーの情報を収集できるため、数多くのユーザーの反応をダイレクトに受け取れます。手に入れた情報をもとに、製品のアップデートやマーケティングの精度の向上につなげられるでしょう。

SaaSビジネスモデルが持つデメリットとは?

SaaSビジネスモデルのメリットを知ったところで、ここからはSaaSビジネスモデルのデメリットをみていきます。商品を展開する場合、メリットとデメリットのどちらが大きく感じるのかを判断する材料にしてください。

開発資金の回収に時間がかかる

SaaSビジネスモデルは、ソフトウェアの開発に多額の資金が必要です。多くのユーザーを獲得するためには、幅広いニーズを満たすサービスを提供しなくてはならないため、高いクオリティと幅広いサービスという条件を満たす必要があります。

「無料だから使ってみようか」というユーザーだけしか獲得できないと、一時的にユーザー数が増えても利益がでにくいです。このため、質の低いソフトウェアやサービスでは、なかなか収益にはつながりません。

さらにサブスクリプションという収益モデルは、ユーザーが長期間にわたって料金を払ってくれてこそ成立するモデルであるため、費用の回収に時間がかかる仕組みです。サブスクリプション契約を締結してくれるユーザーをいかに増やし、いかに早く開発コストを回収するか、経営者の手腕が問われるでしょう。

カスタマーサービスに負担がかかることがある

SaaS型のビジネスモデルは、カスタマーサービスの負担が大きくなることがあります。なぜなら継続的にサービスを利用してもらうために、常にユーザーの不満を解消しなければならないからです。

また、買い切り型のビジネスよりもユーザー数が増えやすいため、カスタマーサービスに問い合わせる方の数も比例して増えやすくなります。

さらに、BtoC型のビジネスの場合、サービスの評価をSNSで共有されることも多いです。このときに、カスタマーサービスの対応が悪ければ、評価が大きく下がる可能性もあるため、カスタマーサービスの質を高く維持しなければなりません。

開発費用のほかに、運用や販売時にも高額なコストがかかる点は、抑えておく必要があります。

新しい機能の実装を継続する必要がある

ユーザーに継続してサブスクリプション契約をしてもらうためには、常にサービスを改善し、ユーザーに新しい価値を提供し続ける必要があります。すでにある機能を改善するときの対応が素早くできることは、SaaSビジネスモデルの大きなメリットです。

しかし、他の競合サイトも機能改善や新機能の搭載を高頻度で行うため、新しい機能を出す際にもスピード感が求められます。他社よりも更新のペースが遅れてしまうだけで、大きくユーザーを減らしてしまう原因になる点はデメリットといえるでしょう。

競合他社の数が多い

SaaS型ビジネスモデルには、他業種に比べ競合他社が多いという特徴があります。似たソフトウェアや機能を備えたサービスを展開する企業がいくつもあるため、激しいユーザー獲得競争に勝たなければなりません。

また、GoogleやMicrosoftなど、大手企業もSaaS型ビジネスを行っているため、サービスやソフトウェアの内容によっては、このような企業と競争をする可能性もあります。ある程度の資本力がなければ、継続し続けることが難しい点もSaaS型ビジネスモデルのデメリットです。

SaaSビジネスの代表事例5選

ここからはSaaSビジネスの代表的な事例を5つに絞って紹介します。どのようなサービス内容で、どの部分がビジネスとして成功したのかを確認していきましょう。

Dropbox

「Dropbox」は、オンライン上で自分のデータを保管、管理できるクラウドサービスのひとつです。2GBまでなら無料で利用でき、個人向けから大企業向けまでユーザーのニーズに応じて利用できるクラウドサービスを6種類展開しています。

従来、データの保存を行うときにはハードディスクやディスクの中だけで行われていましたが、Dropboxはクラウドサービスを利用して、データをWeb上に保管するという当時の新サービスを提供しました。

また、個人だけではなく、法人での利用にも力を入れているため、チームでデータを共有・修正したいときに有用なサービスも展開しています。とくに共同作業やセキュリティ面を向上させた「Dropbox Business」は、企業全体で利用しやすいサービスとなっています。

kintone

「kintone」はサイボウズ社が提供する、社内のデータ管理や、コミュニケーションを円滑にできるサービスです。視認性よくデータをまとめる機能があり、必要なデータをすぐに取り出せます。

また、kintoneではコミュニケーションツールも導入されているため、社内の従業員とのやり取りはもちろん、社外の方とのやり取りもできます。提供されているサービスやアプリは、100種類以上あり、自社のニーズに応じてkintoneのカスタマイズが可能です。

もともと、SaaSはサービスやアプリのカスタマイズ性が低いというデメリットがありました。しかし、kintoneは数多くのAPIやプラグインと連携することで、カスタマイズ性の高さを実現し、他社のサービスと差別化することに成功しています。

ferret One

「ferret One」は、BtoB向けマーケティングをサポートするSaaSサービスです。Webサイト制作に役立つCMSや、マーケティングの施策から運用までをサポートするサービス、コンサルティングサービスの主に3つを展開しています。

さまざまなマーケティングツールがありますが、複雑な機能で使いにくいものが多かったです。そのような中、ferret OneはUIを初心者でも使いやすいように設計されており、専門知識やコードを使わずに利用できます。

freee

「freee」は、会計や人事労務、販売管理といった「ビジネスを支える」ソフトウェアサービスを展開しています。

関連サービスとして福利厚生や資金調達のほか、電子契約システムもあります。会計ソフトと人事労務ソフトは、従業員の規模別にサービスが分かれていることから、より自社の状況に近いサービス選びが可能です。

クラウドでデータが管理できることから、自社で帳票を保管する必要がなく、データの保管のほか、データの確認業務の負荷が削減できます。個人事業主向けの会計ソフトサービスもあることから、一般消費者のニーズも満たしているのです。

Fairgrit®

「Fairgrit®」は、クライアント先に常駐するSESエンジニアの業務管理をサポートするSaaSサービスです。SES業務管理に特化している点が大きな特徴で、他社とは異なる点といえます。

SES事業はエンジニアの管理を行わなければならないため、一般的なIT事業の管理ツールでは使いにくい部分もあるでしょう。しかし、Fairgrit®はエンジニアの就業管理から、営業に必要な契約情報の管理、さらにはエンジニアのメンタル管理まで、SES事業で必要な機能が詰まっています。

営業面や請求面の業務、バックオフィス業務もFairgrit®で可能なことから、SES企業の業務を一括で管理できるでしょう。

SaaSビジネスを成功させるためのポイントとは?

SaaSビジネスの代表例をみたところで、ここからはSaaSビジネスを成功させるポイントについて確認していきましょう。

料金プランを戦略的に設定する

SaaSビジネスを成功させるためには、提供サービスの料金プランを戦略的に設定しましょう。

サービスの内容によって、適切な価格形態は変わってきます。また、サービスのターゲットとなる層が利用したい料金設定にしなければ、サブスクリプション契約になかなかつながらない可能性もあります。

そのため、まずはユーザーのペルソナを具体化したうえで、いくつかの料金プランを検討しましょう。無料サービスの内容も、無料プランとして切り分けるのか、もっともリーズナブルなプランで無料期間を設けるのかなど、いくつかの選択肢があります。

どの価格帯のユーザーに向けてサービスを展開すれば収益を上げられるのか、自社が選ばれる価格帯はどこかなど、複数の視点から戦略的にプランを設定しましょう。

スタートアップ時点で資金調達から回収までの計画を練る

SaaSビジネスを成功させるためには、スタートアップから事業を拡大させるための資金調達を経て、初期投資を回収するまでの綿密な計画を練ることが必要です。スタートアップ企業は初期投資の準備が難しい点や、安定した収益につなげることが難しいことから、起業後しばらくで経営難に陥ることが多いです。

そのため、外部から資金調達して事業を継続させつつ、初期投資をできるだけ早く回収しなければいけません。

スタートアップ企業の初期投資回収の目安は、早ければ3カ月、遅くとも半年といわれています

3カ月で一定のマイルストーンを、半年以内に初期投資を回収する計画を立てましょう。

回収期限を決めることで、どのプランを利用するユーザーを何人獲得すればよいか、そのためにはどのようなマーケティングを行えばよいか、といった具体策がみえてきます。

顧客との関係性を重視する

SaaSビジネスの特徴として、顧客との密接な関係性を築く必要があります。買い切り型のサービスでは商品やサービスと顧客の関係性は、顧客が購入するとほぼなくなってしまいます。

しかしSaaSビジネスは、ユーザーがサービスを利用する期間はずっと関係が続くのです。そのため常にユーザーが満足しているかをチェックし、ソフトウェアや関連サービスの改善に努めなくてはいけません。

SaaSビジネスを成功させるには、常に「ユーザーファースト」の視点が必要です。

ユーザー自身の使用方法を意識する

SaaSビジネスを成功させるには、ユーザーが使いたい機能を提供することが不可欠です。そのためにはユーザーの使い方を理解し、どのような部分に使いにくさを感じているかを確認しましょう。

ユーザーの意見やクレームは「ユーザーが感じている不満や課題」であるため、ユーザーに継続して利用してもらうために対応すべき内容です。ユーザーが自社SaaSに感じている課題をすくい上げるには、ユーザーから自社への連絡を待つ以外にSNSや掲示板、レビューが役立ちます。

また、実際に製作者自らが使ってみて、使いにくい点や不満を感じる部分がないかを確認することも大切です。

SaaSビジネスモデルの特徴を知り、成功につなげよう

SaaSビジネスモデルは、ユーザーからの評価の高いサービスを提供することで、会社を一気に成長させる可能性があります。ただし、SaaSビジネスモデルは、いくつかのデメリットもあるため、サービス内容によっては向いていない可能性もあるでしょう。

まずは自分のサービスの内容やターゲットとなる層を確認し、SaaSビジネスモデルが向いているかを確認しましょう。

また、SaaSビジネスモデルを成功させるためには、ユーザーファーストの姿勢が欠かせません。ユーザーが使用しやすいサービスや、利用しやすい価格帯を常に確認し、最善の商品となるようにアップデートしていきましょう。

参考:働き方改革やDXを加速させる!?クラウド型ソフトウェア提供サービス『SaaS』 – 株式会社SBSマーケティング

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