エンジニアの退職理由で多いものは?採用後のミスマッチを防ぐ方法を紹介
エンジニアの採用において「求めるスキルを持った人材を確保できない」といった悩みを抱える採用担当者もいるのではないでしょうか。
ITエンジニアの人材不足は、企業にとって大きな課題となっています。人材不足を解決させるひとつの方法が、エンジニアの退職を防ぐことです。
本記事ではスキルを持ったエンジニアの退職を予防するために、エンジニアが退職する理由と企業が改善すべき点を詳しく解説します。
INDEX
エンジニアの離職率は高い?
エンジニア職は他業種と比べて「離職率が高い」と言われることもありますが、本当にエンジニアの離職率は高いのでしょうか?
ここでは、厚生労働省のデータをもとに、全体の離職率と比較してITエンジニアの離職率が高いのかを検証していきます。
IT業界の離職率
ITエンジニアの離職率を確認するために、今回は厚生労働省が発表した「令和3年上半期雇用動向調査結果の概況」を元に解説していきます。
厚生労働省の上半期雇用動向調査によると、ITエンジニアが関連する「情報通信業」の2021年の離職率は5.0%でした。しかし入職率は8.5%のため、情報通信業全体の人口は増えているといえます。
他業界と比較してみると、金融業・保険業、製造業、宿泊業・飲食サービス業については、入職率より離職率が上回っています。
引用:― 令和3年上半期雇用動向調査結果の概況 ― |厚生労働省
また、同調査によると、2021年の国内全体の離職率は8.1%だったため、全体の離職率よりも情報通信業の離職率は低いことがわかります。
このように、他業界と比較しても、また国内全体の平均と比較しても情報通信業の離職率はそれほど「高い」といえる数値ではありません。
それでも、ITエンジニアの離職率が高いといわれるのはなぜなのか、次の項目から解説していきます。
エンジニアの4人に1人が離職や休業をしている
厚生労働省の労働安全衛生調査によると、2020年11月1日から2021年10月31日の期間に情報通信業においてメンタルヘルスに課題を抱えていることがわかりました。連続して1か月以上休業した労働者の割合は、26.7%、退職した労働者は11.7%です。
情報通信業で働く人の約4分の1以上の人たちが、メンタルヘルスに課題を抱え、連続して1か月以上の休業を経験したことがわかります。
26.7%という数字は他の業種と比較しても、全体で2番目に大きな数字です。
ITエンジニアにとってメンタルヘルスの問題がいかに大きいかがわかるでしょう。
同調査によると、退職した労働者も10人に1人と、やはり他の業種と比較して突出した数字となっています。
メンタルヘルスに課題を抱えることによる休業や退職が、ITエンジニアにとって身近な問題であることが「ITエンジニアの離職率が高い」とするイメージにつながっているのではないでしょうか。
エンジニアが退職を決める主な6つの理由
それでは、エンジニアが実際に退職を決めるきっかけになる理由とはどのようなものでしょうか?
ここからはエンジニアが退職を決める主な理由について、具体的に確認していきます。
スキルアップをしたくなったから
IT業界は日々新しい技術が生まれており、常に最新の技術やスキル、知識を学ぶことが求められる業界です。
ただしせっかく新しいスキルや知識を身につけても、今自分が在籍している会社では身につけたスキルや知識を生かせないことがあります。
「今の環境ではスキルアップできない」「新しい経験を積むことができない」と感じた場合、新たな環境を求めてITエンジニアは退職してしまうケースが多いです。
フリーランスとして働きたくなったから
ITエンジニアは会社員として働く以外に、自分のスキルや知識を活かしてフリーランスとして活躍しやすい職種です。
システムやアプリを開発する現場で求められるスキルや知識があれば、自分のスキルと知識だけで仕事を獲得できます。
フリーランスとして働くことによって、自分がやりたい仕事を選べるでしょう。
仕事の仕方と学びの両面で、ITエンジニアにはメリットがある働き方といえます。
やりたい業務内容ではなかったから
自分が携わりたい仕事の内容やスキルアップにこだわるITエンジニアの場合、希望しない開発に参画したときも、退職を考える原因となるでしょう。
特に従来のSES企業に勤めているSESエンジニアの場合は、会社の指示にしたがってさまざまな業種のクライアント先に常駐しながら仕事を行います。そのため、自分のスキルにはマッチしているものの「やりたい」「深めたい」開発に携われるとは限らないのです。
大規模なシステムやアプリの開発プロジェクトは、長いケースでは成果物の完成(終了)まで数年かかることもあります。
数年間自分の希望しない仕事を続けるのであれば「この機会に転職を」と考えるケースも考えられるでしょう。
自分のスキルとミスマッチだったから
人材が不足している現場や、新しい技術を取り入れようとしているケースでは、まだ習得していないスキルでの仕事を求められることがあります。
まだ身についていないスキルでの仕事で成果を求められると、エンジニアの仕事に対するモチベーションも下がりかねません。
このように、自分のスキルと合わない仕事を求められたときにも、エンジニアが転職を考える原因になりえます。
働きやすい環境ではなかったから
ITエンジニアの仕事はインターネット環境とパソコンがあれば、場所を問わず従事できます。
そのため、予算がないプロジェクトの場合、大きなデスクに多数の人がパソコンを持ち寄って、全員の顔が見える状態での仕事を強いられることもあるのです。
「できれば静かな環境で仕事をしたい」と思っていても、自分の都合で環境を変えられないケースもあるでしょう。
働きやすいとはいえない環境が改善されない場合も、エンジニアが退職を考え始めるきっかけになります。
適切な評価を得られなかったから
自分のスキルや経験が会社から適切に評価されなかったときも、エンジニアが退職する原因になりやすいです。
なぜなら他の会社であれば、より高い評価が受けられる可能性があるからです。
IT業界はニーズが高いスキルを持っていれば、勤続年数が短いことや転職回数が多いことはデメリットにはなりません。
スキルを持ったエンジニアであれば、転職しても元の年収を維持できますし、なかには年収を上げられるケースもあります。
そのため自分が適切な評価を受けられていないと感じたエンジニアは、適切な評価をくれる会社を求めて転職してしまうのです。
離職の原因は企業にある場合も|よくある原因とは?
エンジニアが離職する原因が、企業側にあるケースも見られます。ここからは、エンジニアの離職原因が企業側にあるケースについて確認していきましょう。
採用時点でミスマッチが発生している
ITエンジニアが退職する要因に、採用のミスマッチが隠されていることもあります。
ミスマッチの原因の一つは、企業の求めるスキルと求職者の持つスキルのギャップです。
IT業界は慢性的な人材不足が続いているため、企業側も人材不足解消のために、多少自社のニーズに合わないスキルを持つエンジニアであっても採用してしまうことがあります。
このように採用基準をゆるめてしまうと、採用後にミスマッチが発生してしまう原因となるでしょう。
ミスマッチのもう一つの原因は、ITエンジニアのスキルを客観的に評価するノウハウが企業にないケースです。
人材のスキルを見極められなかった結果、自社が求める人材とは異なるエンジニアを採用する結果となってしまいます。
企業は、自社が必要とするエンジニアの採用基準を明確にすること、また求職者のスキルや志向を具体的な把握が大切です。
労働環境があまりよくない
ITエンジニアが働く上で、長時間の残業や休日出勤など、過重労働が生じることもあります。
その原因は、業務の増加やプロジェクトの期限が短いことなど、IT業界の競争激化によるものが考えられるでしょう。
また企業側の管理体制が原因になっていることもあります。
労働環境の悪化はエンジニアの体調やメンタルにも影響し、それが原因で離職につながってしまうのです。
企業はエンジニアの労働状況を管理・把握し、業務量の適正化や適切な人員配置、ワークライフバランスの確保など、労働環境改善に取り込む必要があるでしょう。
会社に対する愛着がわきにくい
ITエンジニアのなかでも、とくに客先に常駐するSESエンジニアは、会社に対する愛着がわきにくい傾向にあります。
なぜならSESエンジニアは自社で仕事をすることがほとんどなく、自社との関わりが少ないためです。
自社との関わりが少ないと、自社のビジョンや文化に共感できないことにつながり、自社よりも長く過ごしている常駐先に愛着がわいてしまうケースもあります。
エンジニアが会社に愛着がわかないまま仕事を続けていると、会社の人材の流出や士気の低下につながるでしょう。そのためエンジニアと密にコミュニケーションをとり、自社との関わりを増やすことが大切です。
エンジニアの離職を防ぐ6つの対策法
企業が自社のエンジニアの離職を防ぐためには、具体的にどのような対策が必要なのでしょうか?
ここからはエンジニアの離職を防ぐ6つの対策法について解説します。
採用時にスキルを詳細にチェックする
ITエンジニアの離職を防ぐためには、採用時におけるスキルの詳細なチェックが大切です。
採用面接には知識がある現場担当者が同席し、エンジニアのスキルを詳細に確認することで、採用したエンジニアが適切なポジションに配置され、スキルを最大限に発揮できる環境を提供できます。
適切なポジションへの配置と教育は、エンジニアのモチベーション向上や成長機会の提供にもつながるため、離職防止策として有効な手段となるでしょう。
スキルに見合った報酬を支給する
ITエンジニアの離職を防ぐためには、エンジニアのスキルに見合った報酬を支払うことが重要です。
ITエンジニアは市場価値が高い職種であるため、スキルに見合った報酬が支払われないと離職につながる可能性が高いでしょう。
そのため、会社側はエンジニアの市場価値に合わせた報酬を支払うことが必要です。
スキルに見合った報酬を支払うことは、エンジニアのモチベーション向上や満足度の向上にもつながるでしょう。
またエンジニアのモチベーション向上が、結果的に、会社の業績向上も期待できます。
定期的にエンジニアとコミュニケーションをとる
ITエンジニアの離職を防ぐためには、定期的にコミュニケーションをとるようにしましょう。
エンジニアは高度なスキルを持ち、さまざまなプロジェクトに深く関わっています。しかしプロジェクトが進むにつれてエンジニアの心身の負荷が増えることもあります。
エンジニアが心身にストレスを抱えると、離職につながりやすくなるため、定期的なコミュニケーションを通じてエンジニアのストレスや不満を把握し、早めの適切な対応が大切です。
現在抱えている課題や達成できたことなどを共有し、あわせて今後経験してみたいことなど、本人のキャリア希望も確認し、本人のモチベーションアップにもつなげましょう。
人間関係を良好に保てる環境を考慮する
ITエンジニアの離職を防ぐためには、人間関係を良好に保つことが大切です。
職場での人間関係が悪化すると仕事に支障が生じてしまうため、エンジニアは、人間関係を良好に保つ環境づくりが重要です。
具体的には社員同士の交流を促進するイベントの開催や、部署間の情報共有を円滑に行うためのコミュニケーションツールの導入などが挙げられます。
上司や先輩エンジニアが適切なフォローを行い、エンジニアの仕事に対するモチベーションややりがいを高めることも大切です。
働きやすい環境を整える
ITエンジニアが自社で快適に働けるように、働きやすい環境を整えることも大切です。
具体的には、エンジニアが集中して仕事に取り組める静かな空間や、適切な温度・湿度管理などの物理的な環境整備が挙げられます。
また、休憩スペースやフリードリンクなどの福利厚生の充実もエンジニアにとって魅力的な要素です。
ワークライフバランスを考慮した働き方や、自己成長を促すトレーニングプログラムの提供など、キャリアアップに向けた支援も重要といえます。
ITエンジニアが働きやすい環境を整えることで、エンジニアのストレスや不満を軽減できるほか、離職の防止が期待できるでしょう。
スキルアップを図れる環境を整える
ITエンジニア自身がスキルアップを図れる環境も整えましょう。
エンジニアは技術革新が進む業界で働くため、常に最新の技術や知識を得る必要があります。
エンジニアがスキルアップを図れる環境を整えることは、エンジニア自身のキャリアアップにとっても重要です。
具体的には、社内での研修やセミナーの開催、資格取得支援、技術書籍やオンライン学習の提供などがあげられます。
エンジニアが新しい技術やツールを導入しやすい開発環境の整備も重要です。
エンジニアが自己成長を実現できる環境整備によって、やりがいや会社に対する親和性が高まり、離職の防止につながるでしょう。
SESエンジニアのメンタル管理なら「Fairgrit®」がおすすめ
SESエンジニアは、高い技術力とスピードを求められる仕事のため、仕事のストレスや不安、孤独感などを抱えることがあります。
そのようなSESエンジニアのメンタルヘルスを適切に管理するためには、SES業務管理ツール「Fairgrit®」の活用がおすすめです。
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案件情報や勤務表のデータを元に請求書を自動作成し、ワンクリックで送付ができるため、業務コストの削減も期待できるでしょう。
SES業務の効率化を目指す方は、「Fairgrit®」の導入を検討してみてはいかがでしょうか?
エンジニアの退職理由を知って働きやすい環境づくりを目指そう
ITエンジニアが退職する理由はメンタルヘルスの課題から、キャリアアップのためなどさまざま考えられるでしょう。
ITエンジニアの離職を防ぐためには、エンジニアと綿密にコミュニケーションをとり、職場環境を適切に保つ、キャリアアップの道を示すなど、企業の努力も必要です。
とくにSESエンジニアの離職は、日々の適切な管理によって予防できる可能性が高まります。
SESエンジニアの退職や管理に課題を感じている場合は、本記事を参考にしつつ「Fairgrit®」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
Fairgrit®メディア編集部です。
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