クラウドサービスとSaaSの違いとは?PaaS・IaaSについても詳しく解説

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クラウドサービスとSaaSの違いとは?PaaS・IaaSについても詳しく解説

近年、クラウドサービスの急速な普及により、クラウドサービスを導入する企業が増えてきています。それに付随して、SaaSやPaaS、IaaSといった言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

しかし、SaaS・PaaS・IaaSは同じクラウドサービスではあるものの、その特徴は異なるのです。そこで、SaaSに焦点を当て、PaaS、IaaSとの違いや、それぞれの提供形態の特徴について解説します。

そもそもクラウドサービスとは?

クラウドサービスとは、パソコンやスマートフォン内ではなく、インターネット上で提供されているソフトウェアや開発環境などのサービスのことです。さまざまなサービスがクラウドサービスに該当し、Gmailなどの「電子メール」やTwitterやFacebookなどの「SNS」も当てはまります。

クラウドサービスの大きな特徴は、インターネット環境さえあればサービスを利用できる点です。サービスの利用に際してハードウェアやソフトを必要としないため、設備投資にかかる費用が削減できます。

パソコンだけではなく、スマートフォンでも利用できるサービスがほとんどのため、時間や場所を問わずサービスを利用できる点もメリットです。

クラウドサービスの2つの提供形態

クラウドサービスには、以下の2つの提供形態があります。

・パブリッククラウド

・プライベートクラウド

それぞれどのような提供形態であるか詳しく解説します。

パブリッククラウド

パブリッククラウドは、不特定多数のユーザーが利用可能な提供形態です。すべての利用者がクラウドサービスを共有して使うため、少額のコストで運用できる点がメリットといえます。また、基本的に運営会社が全体管理を行っているため、個別に管理をする必要や管理費を負担しないケースが多いです。

さらに、従量課金制のサービスが多いため、使いたいときに使いたいだけ利用できる柔軟性も大きな特徴です。サービスの更新やメンテナンスはサービス提供者が行ってくれるため、更新をする必要がない点もメリットといえるでしょう。

デメリットとしては、カスタマイズ性の低さが挙げられます。提供されるサービスの範囲内でしかカスタマイズできないため、導入したサービスを基に独自のシステムを構築することはできません。

プライベートクラウド

プライベートクラウドは、企業が自社や提携企業のために構築したクラウド環境です。対象が限られているため、自社が利用する上で理想的なクラウド環境を作り上げられますが、一から環境を構築しなければならないため、専門的な知識や高い技術力が求められるでしょう。

また、結果的に管理・保守にかかる費用もパブリッククラウドより大きくなります。そのため、プライベートクラウドを採用しているのは主に大企業や公共機関などです。

高い技術力やコストが必要となることを承知の上で、しっかりカスタマイズされた自社に最適なクラウド環境を利用したい場合は、プライベートクラウドを採用するとよいでしょう。

クラウドサービスとSaaS・PaaS・IaaSとの違いとは?

クラウドサービスは、提供するサービスによって「SaaS」「PaaS」「IaaS」に分類され、これら3つはすべてパブリッククラウドに該当します。以下はそれぞれの利用形態と特徴をまとめたものです。

特徴提供サービス
SaaS業務に役立つソフトウェアをクラウド上で提供電子メールや顧客管理システム、グループウェアなど
PaaSアプリケーションの開発環境をクラウド上で提供アプリケーションの開発・実行環境など
IaaSシステム構築に必要なインフラをクラウド上で提供仮想サーバーやストレージ、回線など

それぞれで提供しているサービスの分野が異なっており、どの分野を利用するかで受けられるサービスの内容が異なります。ここからは、サービスごとの特徴をさらに深堀りしますので、どのような違いがあるか確認していきましょう。

SaaSの特徴とメリット・デメリット

SaaSは、正式名称を「Software as a Service」と呼び、主に電子メールや顧客管理システムなどを提供するサービスです。個人でも活用されているクラウドサービスの多くは、このSaaSに分類されます。

SaaSにはどのような特徴があるのか、メリット・デメリットと合わせて見ていきましょう。

SaaSの特徴

SaaSとは、これまでパソコンにインストールしていたようなソフトウェアを、インターネット上で利用できるようにしたクラウドサービスです。SaaSの特徴としては、多種多様なサービスがインターネット上で提供されている点があげられます。

以前は、ソフトウェアを利用するには利用したいソフトウェアをインストールする必要がありました。

しかし、SaaSはサービス提供者がソフトウェアを稼働させ、稼働したソフトウェアを利用者がインターネット経由で利用できる仕組みとなっているため、ハードにソフトウェアをインストールする必要がありません。

また、提供されているサービスは業務利用に適したものが多いため、複数のユーザーが同時に作業できるという特徴もあります。複数のユーザーでファイルの共有や編集が可能なため、業務の効率化に大きく貢献するでしょう。

SaaSを活用したサービス

SaaSを活用したサービスは、Gmailなどの電子メール、Microsoft Officeなどのオフィスソフト、ZoomなどのWeb会議システムなど多岐にわたります。

他にもDropboxやSlack、Chatworkなど、プライベートでも利用する方の多いアプリケーションもSaaSを利用したサービスの一部です。

これらは業務に役立つソフトウェアですが、個人で利用する際も使い勝手が良いため、プライベートでの利用経験があるソフトウェアも多いのではないでしょうか。

SaaSのメリット・デメリット

これまでは、業務に利用するソフトウェアは自社で開発したり、製品を購入したりする必要がありました。しかし、SaaSは提供されているソフトウェアを導入するだけで利用できるため、開発や導入にかかるコストを抑えられます。

また、導入後の保守管理の負担が少ない点もメリットです。ソフトウェアの更新やセキュリティ対策はサービス提供者が行ってくれるため、利用者側で管理する必要がなく、常に最新の状態のソフトウェアを活用できます。

デメリットは、カスタマイズ性が低い点です。基本的に提供されているサービスの範囲内でしかカスタマイズできません。

また、サービス提供者側でなんらかの障害が発生すると、サービスを利用できなくなってしまう点もデメリットといえるでしょう。

PaaSの特徴とメリット・デメリット

PaaSは、正式名称を「Platform as a Service」と呼び、アプリケーションの開発や実行ができる環境などを提供するサービスです。

PaaSにはどのような特徴があるのか、メリット・デメリットと合わせて見ていきましょう。

PaaSの概要

通常、アプリケーションを開発する際はハードウェアやOSなど、アプリケーション開発に適した環境を準備する必要があります。

PaaSはこれらの環境がプラットフォーム化されているため、導入することですぐにアプリケーション開発の環境を整えることが可能です。

アプリケーション開発に必要な環境を、従来よりも低コストかつ、余計な管理が不要で利用できるため、開発に注力したい場合に適しています。ただし、ハードウェアや使用言語を自由に選択できるわけではないため、機能や要件があまり多くないアプリケーションの開発に使われることが多いです。

PaaSを活用したサービス

PaaSを活用したサービスの代表例には、「Amazon Web Services」「Google Cloud Platform」「Microsoft Azure」などがあります。

Amazon Web Servicesは、Amazonが提供しているクラウドサービスの総称です。さまざまなインターネットサービスを提供しており、クラウドサービスとしては世界最大級のシェアを誇ります。

Google Cloud Platformは、Googleが提供するクラウドサービスで、検索エンジンや動画配信などのプラットフォームなど、Googleのインフラを利用できる点が特徴といえるでしょう。

PaaSとして提供しているのはGoogle App Engineというサービスで、Googleのインフラを利用して、PHPやPythonなどを用いてのアプリケーション開発が可能です。

Microsoft Azureは、マイクロソフトが提供しているクラウドサービスです。他のPaaSと比較して低コストで導入でき、さまざまなOS、言語に対応しています。

PaaSのメリット・デメリット

PaaSのメリットとしてまず挙げられるのは、導入がスムーズですぐに利用できる点です。

これまでは開発環境を準備するのに相応の時間を必要としていましたが、PaaSなら準備の必要なく導入するだけでアプリケーションの開発を開始できます。また、導入に伴うコストも抑えることが可能です。

さらに、PaaSによってはコードをあまり用いることなく直感的にアプリケーションを開発できるサービスもあるため、プログラミングスキルがあまり高くない方でも対応できる点も魅力でしょう。

一方、構築された開発環境を導入する都合上、開発環境の構成や使用言語を自由に選択できません。開発したいアプリケーションによっては、開発環境のスペックが足りていない、プログラミング言語が非対応といった事態も起こり得るでしょう。

このようなカスタマイズ性の低さがPaaSのデメリットです。

IaaSの特徴とメリット・デメリット

IaaSは、正式名称を「Infrastructure as a Service」と呼び、仮想サーバーやストレージなど、システム構築に必要なインフラを提供するサービスです。IaaSの他にも、HaaS(Hardware as a Service)とも呼ばれます。

IaaSにはどのような特徴があるのか、メリット・デメリットとあわせて見ていきましょう。

IaaSの概要

IaaSは、仮想サーバーやストレージといった、パソコンのシステムを構築しているインフラをクラウド上で利用できるサービスです。従来は、パソコンインフラの準備に装置や人員を必要としていましたが、IaaSなら導入するだけですぐに利用できます。

PaaSと似たサービスですが、主な違いにハードウェアやOSを自由に選択できる自由度の高さがあります。しかし、その分専門的な知識やセキュリティ対策が重要です。

Amazonやマイクロソフトといった大企業が提供していることもあり、市場規模は年々拡大しています。中小企業でも導入が進んでいるため、さらなるITサービスの成長も合わさって、今後も更なる市場規模の拡大が予想されているサービスです。

IaaSを活用したサービス

PaaSと同様に、IaaSを活用した代表例も「Amazon Web Services」「Google Cloud Platform」「Microsoft Azure」などとなります。

Amazon Web ServicesのIaaSは、Amazon Elastic Compute Cloudです。EC2とも呼ばれており、仮想サーバーを構築して自由に利用できます。ファイアウォールも搭載されているためセキュリティ対策も万全です。

Google Cloud PlatformのIaaSは、Google Compute Engineです。LinuxまたはWindowsの仮想マシンを構築できます。

Microsoft AzureのIaaSはAzure Virtual Machinesです。その名の通り仮想マシンを構築でき、アプリケーションの実行やテストなどさまざまな用途に利用できます。

IaaSのメリット・デメリット

IaaSのメリットとしては、クラウドサービスを利用しながら、カスタマイズ性の高い環境構築ができる点です。環境構築のパーツとなるサーバーやストレージを自由に選択できるため、PaaSでは提供されていないようなプラットフォームを利用できます。

また、自社で独自のシステムを利用している場合は、PaaSだと連携できないケースもありますが、IaaSだと対応できるようにカスタマイズすることも可能です。

IaaSのデメリットとしては、導入時に必要となる知識が他のクラウドサービスよりも多い点があげられます。IaaSでは、自分でソフトウェアの導入や開発環境の構築を行う必要があるため、社内でインフラ周りの知識がある社員を用意しなければなりません。

また、管理や保守にかかるコストがPaaSやSaaSよりも多くなる点もデメリットです。提供されているインフラに関するアップデートは、IaaSの運営会社が行ってくれますが、アップデート後にソフトウェアが運用できるかなどのチェックは自社で行わなければなりません。

SaaS・PaaS・IaaSを使い分けるためのポイント

SaaS・PaaS・IaaSと3つのクラウドサービスを紹介しましたが、これらのサービスはそれぞれどのように使い分ければいいのでしょうか。

SaaS・PaaS・IaaSを使い分けるためのポイントは以下の3つです。

・自社の目的にあわせて使う

・扱う人のレベルにもあわせる必要がある

・開発期間やコストなどを検討して使う

それぞれ詳しく解説します。

自社の目的にあわせて使う

クラウドサービスの3つの利用形態は、それぞれ提供するサービスが異なるため、自社の目的に合わせて選択するとよいでしょう。

たとえば、メールソフトを導入したいならSaaS、簡単なアプリケーションの開発環境が必要ならPaaSを導入するべきです。さらに、業務に応じて柔軟にカスタマイズをしたい場合はIaaSが適切だといえるでしょう。

それぞれの形態の特徴をよく把握して、自社に最適な利用形態を選ぶことで業務の効率化も期待できます。

扱う人のレベルにもあわせる必要がある

SaaS・PaaS・IaaSはそれぞれカスタマイズの自由度が異なるため、扱う人の技術レベルにあったものを選択する必要があるでしょう。

SaaSはカスタマイズ性が低い分、専門知識がなくとも問題なく扱うことができますが、PaaSは専門知識が求められる場合もあります。IaaSにいたってはカスタマイズ性の高さゆえに扱うには専門知識が必須です。

たとえば、インフラ関連に詳しい社員が少ない場合は、IaaSを導入してしまうと管理面に想定以上の人材を割かなくてはならず、開発に集中できない可能性があります。このようなケースの場合は、多少デメリットがあったとしても、PaaSを利用した方がよいといえるでしょう。

開発期間やコストなどを検討して使う

SaaS・PaaS・IaaSのどれを選択するかによって、開発期間やコストにも違いが生まれます。

カスタマイズの自由度が高いものほど、さまざまな機能を追加で実装できるため、開発期間は長くなり、追加の機能が必要になったとしても対応可能です。そのため、クラウドサービスを導入する際は、開発期間やコストを事前に検討してから最適なサービスを選択するようにしましょう。

細かい機能が不要なときや短期間のプロジェクトの場合は、IaaSではなくSaaSやPaaSを導入することで、開発工数を削減できます。

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自社にあわせたクラウドサービスを選ぼう

今回の記事ではSaaSに焦点を当て、PaaS、IaaSとの違いや、それぞれの提供形態の特徴について解説しました。

SaaS・PaaS・IaaSはそれぞれ特徴や提供するサービスが異なるため、導入する際はどの提供形態が自社に合っているのかを検討する必要があります。とくにPaaSとIaaSを比較するときには、プロジェクトの内容だけではなく、社員のスキルも把握しなければ適切な選択ができません。

利用目的や開発期間などを考慮した上で、自社にあわせたクラウドサービスを選んでみてください。

参考:SaaSとは?意味や特徴、代表例、IaaS・PaaSとの違いを解説|デジタル化の窓口

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