労務管理と勤怠管理の違いとは?

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労務管理と勤怠管理の違いとは?

労務管理と勤怠管理は似たようなイメージがあり、違いが明確にわかっていないという方も多いのではないでしょうか?

この記事では、労務管理と勤怠管理の違いについて解説するとともに、労務管理、勤怠管理の必要性や具体的な業務内容について紹介します。

あわせて、労務管理と勤怠管理を連携して管理するメリットも紹介するので、「日々のバックオフィス業務の効率化を図りたい」と考えている方は、ぜひ参考にしてください。

労務管理と勤怠管理の違いとは?

「労務管理」と「勤怠管理」はどちらも企業にとって重要な業務ですが、違いが明確にわからない方も多いのではないでしょうか。

大まかに言うと「労務管理」は、従業員が会社で働く上で必要なさまざまな労働環境を整えることで、「勤怠管理」は、従業員の労働時間や賃金などを細かく管理することを言います。

まずは、労務管理と勤怠管理のそれぞれの目的について詳しく解説します。

労務管理の目的

労務管理には、従業員の給与や福利厚生などの管理を適切に行い、従業員が安心して働ける環境を作る目的があります。

具体的には、労働時間や賃金を正確に管理して、自社が法律に違反していないかを確認することや、労働者の募集や採用、配置、教育訓練など、入社から退社に至る一連の手続きも労務管理に含まれます。

また、近頃新たに「マイナンバーの管理」が労務管理の仕事に加わりました。

マイナンバーは、国民一人ひとりがもつ12ケタの個人番号のことで、企業側は、マイナンバーを用いて雇用期間中の社会保険関連の書類を作成します。

そのため、労務管理ではマイナンバーなどの個人情報が外部に漏れることがないよう、安全管理措置が十分であるかを確認しながら厳格に個人情報を保管しておく必要があります。

勤怠管理の目的

勤怠管理では、従業員一人ひとりの勤務時間や出社日数などを把握し、就業規則や労働基準法に違反していないかを確認します。

勤怠管理の手段の一つとして、労務管理者が直接、従業員の勤務開始時間や勤務終了時間を確認する方法もありますが、かなりの手間と労力がかかってしまうため、従業員数が多い企業では非効率的です。

そのため、タイムレコーダーやタイムカードを用いて管理するほか、勤務状況の把握や給与計算などを一括して管理できる「勤怠管理システム」を利用する企業も増えています。

労務管理をしているのに勤怠管理も必要な理由とは?

勤怠管理とは、従業員の就業状況などを管理することを言いますが、労務管理をする中でなぜ、勤怠管理も必要なのでしょうか。

ここでは、労務管理する中で勤怠管理が必要な理由を4つ紹介します。

従業員の就業状況を正確に把握するため

労務管理をする中で勤怠管理も必要な理由のひとつ目は、従業員の就業状況を正確に把握するためです。

各従業員の一日の勤務時間や残業時間を企業側がきちんと把握しておくことで、従業員がさまざまな健康障害を引き起こす危険性のある過重労働を未然に防げます。

また、従業員の残業時間や休日出勤が多かった場合、企業側が状況を把握し早急に対策することで、過重労働が原因で従業員から訴訟を起こされるといったトラブルも避けられます。

残業時間を極力減らし、長時間労働を改善しながら従業員の健康維持に努めることで、企業全体の生産性の向上も期待できるでしょう。

従業員の給料を正確に支払うため

勤怠管理をすることで従業員の勤務時間が正確にわかり、給与計算もスムーズにできます。

従業員の給与は、基本給とは別に残業代なども計算しなければならず、税金や保険も一人ひとり異なるため、勤怠管理を正確に行っていなければ従業員の給与を正確に支払えません。

そのため、日ごろから勤怠管理に抜けやモレなどがないよう、しっかり管理しておく必要があります。

管理が不十分で未払いの残業代が発生している場合、3年分遡って請求できることが労働基準法で定められていますが、従業員との信頼関係を築くためにも日々正確に勤怠管理を行うことが大切です。

コンプライアンスの遵守につながるため

勤怠管理を正確に行うことは、コンプライアンス遵守にもつながります。

コンプライアンスとは、企業が法律や条例などの規則を守ることを意味しますが、ただ単に法令を守れば良いというわけではありません。

具体的には、社会的規範や企業理念、就業規則を守り、公正・公平に経営活動を行います。

企業で起こるコンプライアンス違反の事例としてあげられるのは、賃金不払いや過労死、セクハラ、人種差別、個人情報流出などです。

中でも従業員が不適切な労働環境で勤務していないかどうかは、労務担当者がしっかり管理する必要があります。

コンプライアンスを遵守することで、企業の売上やイメージアップにつながりますが、逆に違反をすることで会社全体のイメージ悪化につながり、場合によっては倒産につながるというリスクも考えられます。

そのため、企業側ではコンプライアンス遵守が重要視されているのです。

従業員との労務トラブル予防のため

勤怠管理を正確に行うことで、従業員との労務トラブルを未然に防げます。

近年起こった労務トラブルの事例では、過酷な労働環境で業務を行っていた従業員が過労死自殺を図った事件や、女性社員へのセクハラ事件などがあげられますが、このような問題が発生した場合、企業は社員から訴えられてしまう可能性もあります。

訴えられることで企業側は、ブランドイメージや売り上げの低下へ直結したり、取引先などを巻き込んだ共倒れの危険性もあるため、労務トラブルにはとくに注意をしておかなければなりません。

勤怠管理が正確に行われていれば、労務トラブルを未然に防げるだけでなく、労働環境の早期改善や、生産性の向上も期待できるでしょう。

労務管理と勤怠管理をする上で注意すべきポイント

労務管理と勤怠管理をする上で、とくに注意すべきポイントは、以下の3つです。

・法令遵守と法改正時の対応
・情報管理の徹底	
・改善点を見つけて対応する姿勢

ここでは、注意すべきポイント3つについて、詳しく解説していきます。

法令遵守と法改正時の対応

労働基準法や労働安全衛生法などは毎年改正されており、2019年4月の働き方改革関連法では、時間外労働の上限規制や有給休暇の取得義務などの大きな改正がありました。

労務管理者は法令遵守と法改正時の対応が求められるため、厚生労働省のWebページや労働基準監督署、ハローワークなどから情報を仕入れて、常に最新の情報を把握しておかなければなりません。

しかし、法改正に関しては労務管理者がすべてを理解するのは難しいので、社労士や専門家からアドバイスをもらうほか、勤怠管理システムを導入して、改正内容にあわせてシステムを自動アップデートしながら対応するなどの対策が必要です。

情報管理を徹底する

労務管理は、従業員全員が働きやすい環境づくりをする上で欠かせないものであり、社員の個人情報についても厳重に管理する必要があります。

また、従業員に関するさまざまな書類管理の徹底や、新たに加わった従業員のマイナンバーの管理についても、マイナンバー法に基づいて適切に管理する必要があります。

労務管理と勤怠管理では、情報漏洩を必ずしないよう常に意識しておかなければなりません。

常に改善点を見つけて対応する姿勢

労務管理や勤怠管理は、労働に関する法律を守るだけでなく、社員が快適に働ける環境づくりをするために、常に改善点を見つけて対応する姿勢が必要です。

たとえば、社員が働きやすいように「テレワーク(在宅勤務)」を取り入れたり、育児休暇や介護休暇から復職しやすい制度を整えたりといったことがあげられます。

また、昼休みのエレベーター利用の混雑を解消するために、昼休み時間を少しずらしたりするような小さな改善も労務管理の仕事です。

労務管理の部署には、従業員が働きやすいように常に改善点を見つけて、適切に対応する姿勢が求められます。

労務管理・勤怠管理の具体的な業務内容

従業員が快適に働ける環境を整えるために、労務管理や勤怠管理は欠かせない仕事ですが、具体的にはどのような業務があるのでしょうか。

ここでは、労務管理と勤怠管理の主な業務内容を、それぞれ詳しく解説します。

労務管理の業務内容

労務管理の具体的な業務内容は、大きく5つの業務に分けられます。

それぞれ具体的な業務内容について解説していきます。

就業規則の管理

労務管理では労働基準法をクリアした、企業それぞれの働き方のルールを定める必要があります。

企業の経営方針や働き方の多様化などを踏まえて、変更や改定を繰り返しながら就業規則を定め、改定内容を従業員全員に周知することが労務管理の仕事です。

従業員の労働契約や労働時間を管理する

労務管理では、従業員の入社時や昇進、転職などのタイミングで、労働条件に伴った手続きの対応を行います。

また、従業員一人ひとりの労働時間をしっかり把握しておくことも労務管理の業務の一つです。

福利厚生の管理

福利厚生も労務管理の対象です。

福利厚生には「法定福利」と「法定外福利」の2つがあり、どちらも労務管理の業務内容に含まれます。
法定福利法律で定められているもので、具体的には健康保険や雇用保険、労働保険などの各種社保険がある。
法定外福利企業ごとに内容が異なる。社宅の手配、育児支援特別休暇など。

社員の安全衛生や健康管理

従業員が快適に働ける環境を整えるために、安全衛生や健康診断などの管理を行います。

従業員が50人以上の企業の場合は、健康診断を実施し労働基準監督署へ報告することや、安全衛生法の改正により、1年ごとにストレスチェックを実施することが義務づけられており、産業医へ連絡をとったり、従業員へ通知したりするのも労務管理の業務です。

コンプライアンスに基づく業務改善への取り組み

コンプライアンスに基づく業務改善への取り組みも、従業員が安心して働ける環境づくりをする上で欠かせない業務です。

セクハラやパワハラなどのハラスメントに関する対策など、従業員が不適切な労働環境で勤務していないかどうかをきちんと把握しておく必要があります。

勤怠管理の業務内容

勤怠管理の具体的な業務内容には、大きく2つの業務があります。

それぞれについて詳しく解説していきます。

従業員の労働時間や残業時間の管理

勤怠管理の業務は主に、勤務開始と勤務終了時間、休憩時間、残業した時間といった勤務時間を管理することです。

また、出勤日や欠勤日、休日出勤日、振替休日や代休なども把握した上で、厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に基づき、労働時間を正確に管理します。

労務管理をするにあたって必要な対応

終身雇用や年功序列が失われつつある現代では、リストラや早期退職、セクハラ・パワハラといったトラブルなども増え、労務管理の業務内容も大きく変化しています。

ここでは、労務管理におけるよくある課題を3つ紹介していきます。

コンプライアンスの確認

時代の変化とともに、法改正が行われることもあります。

そのため、労務管理では法令違反にならないよう、法改正を定期的に確認していく必要があります。

また社内で不祥事や法令違反などがないかをしっかり確認し、労働者が働きやすい環境づくりのために、環境改善にも努めていかなければなりません。

「働き方改革」への対応

2019年に施行された「働き方改革」によって、在宅ワークや副業、兼業といった、多様な働き方に対応する企業も増えてきました。

しかし、企業が働き方改革に対応するためには、これまでの就業規則では適用しない場面もでてくるでしょう。
そのため、多様な働き方に対応するために、就業規則の見直しや、新しい社内規定の策定など、労働環境の整備が必要になります。

労働環境の整備

仕事と生活の調和(ワークライフバランス)を重要視する企業が増えている現代では、育休延長や、男性の育休取得促進といった動きが高まり、従業員が求める最低基準も変化しています。

労働環境の整備を怠っている場合は罰則の対象になるケースもあるため、従業員が働きやすい環境づくりへの取り組みが必要です。

労務管理と勤怠管理を連携して管理するメリット

ここまで労務管理と勤怠管理について解説してきましたが、労務管理と勤怠管理は、それぞれ違うシステムを使用して管理するよりも、お互いに連携できるシステムで管理するほうが効率的です。

ここでは、労務管理と勤怠管理を連携して管理するメリットを紹介します。

給与計算を効率化できる

従業員の給与を計算するときには、出勤時間や出勤日数を取得し、残業や休日出勤手当なども計算しなければなりません。

もちろん、正社員やパートなど働き方によっても勤務日数や時間、単価は異なるため、労務管理情報を正確に確認する必要があります。

労務管理と勤怠管理がシステムで連携できれば、準備や複雑な作業が減り、給与計算業務を効率化することが可能です。

また、労務管理と勤怠管理を連携して管理することで、人事の負担も減り、煩雑な処理によるミスなども防げるようになります。

勤怠管理にかかる手間を省ける

労務管理と勤怠管理をそれぞれ別のシステムで管理していると、新入社員や中途社員、退職者などがいる場合に、別々に情報を反映しなければなりませんが、システムが連携していればその手間がなくなります。

たとえば、新入社員がいるにもかかわらず、勤怠管理システムにきちんと登録されていなかった場合、勤怠登録ができず登録モレによって給与計算に影響を及ぼす可能性もあるでしょう。

労務管理と勤怠管理を連携して管理することで、そのような小さなミスやトラブルを未然に防ぐことができるメリットもあります。

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労務管理と勤怠管理の違いを正確に理解して業務を効率化しよう

労務管理と勤怠管理の業務内容の違いを正確に理解することで、従業員が安心して快適に働ける環境づくりや、企業の成長にも大きく貢献できます。

とくに労務管理の業務は複雑なためミスやトラブルが起こりやすいですが、労務管理と勤怠管理をシステムで連携して管理することで、煩雑な作業の無駄や手間を削減することができ、小さなミスやトラブルを未然に防げます。

労務管理と勤怠管理のシステム連携が可能なツールの導入なども視野にいれながら、労務管理業務の効率化を目指しましょう。
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