SaaSのセキュリティは安全?リスクと対処法、注意点を詳しく解説
SaaSの導入を考えるとき、セキュリティ面に不安を感じる方もいるのではないでしょうか。クラウドサービスを利用する以上、不正アクセスや情報漏洩が生じる可能性は考慮すべきポイントです。
たしかにSaaSには、他のITツールと同様にセキュリティ面でのリスクが伴いますが、トラブルを回避するための対処法も存在します。また、SaaS特有のセキュリティ面における強みがあることも事実です。
そこで今回は、SaaSのセキュリティ上での注意点、効果的な対策などを解説します。
INDEX
SaaSのセキュリティ対策とは
SaaSはインターネットに接続して利用するのが一般的なため、セキュリティ対策は避けられない課題といえます。
そもそも、SaaSとはクラウド上のソフトウエアを、一定期間の利用権を購入したうえで使用するサービスです。購入して導入するタイプのソフトウエアと異なり、インターネットに接続できる環境さえあれば利用端末を選ばず、どこからでもアクセスできます。
そのため、遠くに住んでいるメンバーとも気軽に情報共有や共同作業が可能な点や、利用目的に応じて、機能の拡張ができる点が強みです。ユーザーの需要を敏感に察知しながら、臨機応変にシステムの内容を変えられます。
ただし、インターネットにつなげる性質上、不正アクセスや情報漏洩のリスクがつきまとうのも事実です。SaaSを導入する場合は、セキュリティ面の危機管理にも気を配る必要があります。そこでまずは、SaaSとオンプレミスのソフトウエアのセキュリティ対策の違いと、SaaSのセキュリティ対策について見ていきましょう。
SaaSとオンプレミスのセキュリティの違い
SaaSとオンプレミスでは、サービスの利用方法に差異があるため、リスクとの向き合い方が異なります。
オンプレミスは、自社(ユーザー側)が独自で構築したシステムに、社内ネットワークを通してアクセスします。オンプレミスのほうがインターネットに接続する機会が少ないため、セキュリティリスクは少ないと思われやすいです。しかし、外部からの不正なアクセスを完全に遮断するのはオンプレミスでも難しいため、SaaSよりもセキュリティ面で優れているとは言い切れません。
また、オンプレミスの場合、自社でセキュリティ対策も行わなければいけないため、相応の知識も必要となります。
その点、SaaSは長年セキュリティリスクの問題点を指摘されてきたため、提供する企業は絶えず改善を図ってきました。総務省がセキュリティガイドラインを発表するなど、行政もその動きをサポートしています。実際のセキュリティ対策についても、提供企業が対応するため、自社に知識がなくても対策してくれている点は大きな違いといえます。
そのため、どちらにも利点はありますが、セキュリティ対策の知識がない場合は、SaaSのほうがセキュリティ対策の効果が高い可能性があるでしょう。
SaaSのセキュリティ対策は提供元の比重が大きい
SaaSのセキュリティ対策を考えるうえで重要なのは、SaaSを提供する企業のセキュリティレベルを事前確認することです。SaaSのソフトウエアは、提供する企業が保有するサーバ上に構築されており、その企業によって管理されています。
そのため、セキュリティにおいても提供する企業の担う比重が、必然的に大きくなるのです。契約を検討する際には、どのようなセキュリティ対策を行っているかや、トラブル発生時などのサポート内容などを確認し、信頼できるサービスかどうかを精査してください。
SaaSを利用することによるセキュリティリスク
SaaSにはどのようなセキュリティリスクが存在するのか、気になる方も多いでしょう。ここでは、とくに重要視すべき以下のポイントを取り上げます。
・SaaS提供元へのサイバー攻撃
・社内のデバイス、システムへのサイバー攻撃
・SaaSが使えなくなったときの業務への影響
以上の3点を押さえておけば、SaaSの利用に伴う主要なセキュリティリスクを把握できるようになります。どのようなセキュリティ対策を行えばよいか理解できるため、必ず確認しておきましょう。
SaaS提供元へのサイバー攻撃
SaaSでは、SaaS提供側へのサイバー攻撃が大きなリスクとなります。
ユーザー側がセキュリティ対策を万全にしたとしても、SaaSのサービス提供側へのサイバー攻撃が発生した場合、情報漏洩などが起きる可能性は十分あり得ます。また、公的機関や大企業など、知名度が高く利用者の多いSaaSも、サイバー攻撃の対象になる可能性があるでしょう。
顧客情報などをSaaSに預けていた場合、情報の流出が明るみに出れば大きな問題となります。だからこそ、SaaSを提供する企業を選ぶ際には慎重な判断が求められるのです。
社内のデバイス、システムへのサイバー攻撃
SaaSを使用する社内デバイスや、システムへのサイバー攻撃にも備えなくてはなりません。SaaS側のセキュリティが万全だったとしても、社内デバイスに不正アクセスをされ、SaaSのログイン情報などが流出する可能性があります。
不正アクセスの原因例としては、実際にシステムを扱う従業員が、フィッシングサイトやメールにだまされてしまうと、そこからSaaSにログインされるなどが考えられます。不正アクセスが原因となり、情報などが抜き取られる可能性もあるため、対策を講じなければいけません。
エンジニア以外の社内スタッフに対して、安全ではないサイトへアクセスしないようにしたり、IDやパスワードの管理を徹底したり、暗号化されていない無料Wi-Fiを使用してSaaSにアクセスしたりしないようにルールを周知・徹底することも大切です。
SaaSが使えなくなったときの業務への影響
SaaSが突然使えなくなったとき、業務にどのような影響が生じるのか把握しておくことも重要です。SaaSの常時稼働を前提にしている場合は、とくに注意しておきましょう。なんらかの障害が発生して突然SaaSを使用できなくなった場合、業務に甚大な影響を及ぼす恐れがあります。
SaaSは安全性と利便性に優れたサービスであるため、SaaSを常にフル活用したくなる企業も多いです。しかし、何らかのトラブルが発生した場合、SaaSへの依存度が高いほどリスクも高くなります。
そのため、SaaSに問題が起きた場合に備え、定期的にバックアップをとっておいたり、緊急時の対応マニュアルを用意したりするなどの準備をしておきましょう。
SaaS利用時にユーザーが行うセキュリティ対策例5つ
SaaSを利用する際、ユーザー側が取り組むべきセキュリティ対策にはどのような方法があるのでしょうか。ここでは、以下5つの例を紹介します。
・ID・パスワードの管理を徹底する
・アクセス制御を徹底する
・デバイスやシステムの管理を一元化する
・社内のセキュリティを強化する
・運用ルールを見直す
どれもセキュリティインシデント(セキュリティ上の脅威事象)の防止に効果的な手法です。SaaSを導入する際の参考にしてください。
ID・パスワードの管理を徹底する
ID・パスワードの管理は、SaaSのセキュリティを守るために重要なポイントです。SaaSにアクセスするためにはIDとパスワードが必要不可欠であり、各ユーザーが日常的に取り扱います。その分、漏洩のリスクも高まるため、セキュリティ対策としての重要度は高いといえるでしょう。
一般的に、多数のシステムやアプリケーションを使用している企業が多いです。その際、複数のアプリケーションに個別のIDやパスワードを設定してしまうと、どうしても管理が難しくなります。使い勝手を損なわずセキュリティレベルを上げるためには、IDやパスワードを適切に管理できる体制づくりが欠かせません。
パスワードは桁数・文字数を増やして解読されにくい文字列にするのはもちろん、多段階認証の適用や他人には決して教えないようルールを定めるなど、厳重な対応を徹底しましょう。
アクセス制御を徹底する
アクセス制御の設定も必須です。各ユーザーが所属している部署や役職の情報に基づいて、アクセスできる情報や機能に制限をかければ、必要以上に情報を扱う機会を減らせるため、情報の流出リスクを軽減できます。また、利用できる端末や利用時間の設定なども、不審なアクセスを防ぐうえで重要です。外部からの攻撃を防ぐと同時に、組織内部における情報管理体制の強化にもつながります。
SaaSを導入する際には、アクセス制限ができて、アクセスログが取れるサービスを選択しましょう。
デバイスやシステムの管理を一元化する
社内のIT資産の全体像を把握するために、SaaS以外も含めたデバイスや、システム全般の管理担当者を設けるのも効果的な方法です。
管理担当者がいれば、各アプリケーションへのアクセス状況のチェック、OSやソフトウエアのアップデート管理、現状のシステム面の脆弱性まで俯瞰的に確認できます。不測の事態が生じた際にも早期発見しやすく、迅速な処置を講じられるでしょう。
また、管理担当者を専任で置けば、トラブルを解決したあとに、その担当者が中心となりトラブルの原因究明と改善を迅速に行えるため、長期的なセキュリティの向上にも有効です。
社内のセキュリティを強化する
SaaS利用以外も含めた社内全体のセキュリティを強化するのも大切です。SaaS自体のセキュリティに関しては、提供する企業にゆだねてしまう要素が多いのは事実です。しかし、提供する企業にセキュリティ対策をすべて任せてしまうと、自社内の人為的ミスなどから問題が発生する可能性が高くなってしまいます。
SaaSがどれほど厳重なセキュリティ体制を築いていたとしても、それを扱う社内のセキュリティが脆弱では意味がありません。デバイス管理の厳重化やネットワークのセキュリティ向上など、SaaSを扱う組織全体の安全性を高める施策を打っておきましょう。
運用ルールを見直す
どのようにSaaSを運用するかのルールも積極的に見直していきましょう。誰にどこまでの情報にアクセスする権限を与えるのか、アクセスログはどれくらいの期間残すのか、誰が管理責任者になるのかなど、自社に最適なルールを設定することが大切です。
SaaSや社内のセキュリティレベルが強固であったとしても、運用する方法に問題があれば、甚大なセキュリティ事故が発生する恐れがあります。ITツールの利用に慣れていないスタッフも適切にSaaSを使用できるよう、社内で統一したルールの制定は欠かせません。
SaaSのセキュリティ対策としてとくに点検すべきポイント
SaaSのセキュリティレベルを向上させたいと思っても、何から手を付ければいいのか迷ってしまうケースもあるでしょう。ここではとくに点検すべき以下のポイントを紹介します。
・SaaSに二段階認証・多要素認証を採用しているか
・SaaSにアクセスする社員のセキュリティリテラシーは高いか
どちらもSaaSのセキュリティ向上を図る際に確認する必要があります。必ず押さえておきましょう。
SaaSに二段階認証・多要素認証を採用しているか
二段階認証の導入は、セキュリティレベルを高めるために必須です。IDとパスワードを設定すれば、権限が付与されたユーザーだけがSaaSにログインできるようになります。しかし、裏を返せばIDとパスワードが流出した場合は、外部からのサイバー攻撃の要因に直結しかねません。
だからこそ、ログイン時にメールやスマートフォンアプリでの本人認証をあわせて実施するようにすれば、万が一、IDとパスワードが漏洩した際にも不正なアクセスを防げます。指紋認証やセキュリティキーを取り入れた多要素認証も有効な手段です。
また、自動ログイン機能をオフにするなど、誰がデバイスを使用しているのか常に管理できるようにしておきましょう。
SaaSにアクセスするスタッフのセキュリティリテラシーは高いか
SaaSにアクセスするスタッフのセキュリティリテラシーにも注意しましょう。SaaSを運用するのは人であるため、それを扱うスタッフのリテラシーが低ければ、重大な事故を引き起こす可能性は高くなります。私物のデバイスで社内ネットワークに接続していないか、社内情報を個人のクラウドストレージにアップしていないかなどをチェックし、必要に応じて社内ルールの改訂も行いましょう。
また、リテラシー向上のためのセキュリティ教育も重要です。専門部署の設立や担当者の配置、学習時間を設けるなど、社内のリテラシー向上に役立つ対策に取り組みましょう。社内の人材では適切な教育が難しい場合は、外部講師を招くのも効果的です。
SaaSを導入したほうがよいセキュリティ面での理由
SaaSを導入した場合、セキュリティ面でどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは以下3つの観点からSaaSの優れている点を解説します。
・ユーザー側の責任や対策の範囲が狭いこと
・問題への対応や対策を提供元に任せられるため
・SaaSのセキュリティ対策の更新が不要なため
SaaSを導入することで、ITの専門家である提供企業にセキュリティ面での対応を任せられる安心を、さまざまな場面で感じられます。それぞれの理由について詳しく解説します。
ユーザー側の責任や対策の範囲が狭いこと
SaaS導入のメリットとして、ユーザーが対策すべき範囲や取るべき責任が少ない点が挙げられます。もしも、オンプレミスのソフトウエアを利用している場合は、基本的に情報漏洩やシステムなどのトラブルが起きた際もユーザー側がほぼすべての責任を負う必要があります。
しかし、SaaSであれば、システムを提供する企業側にも提供責任が生じます。例えば、SaaS側に起因するシステム不備やセキュリティ事故が起きた場合には、提供企業から解約や、最悪賠償を請求される可能性があります。
問題への対応や対策を提供元に任せられるため
不正アクセスやマルウェアへの感染など、セキュリティ上の脅威が発生した際の対応や対策を、提供する企業に任せられるのも大きなメリットです。
オンプレミスでシステムを構築している場合は、対応や対策はすべて自社が行わなければなりません。しかし、SaaSを利用しているのであれば、豊富な経験を有する提供企業が対応に当たってくれます。
ただし、SaaSを導入する際には、念のため有事の対応について確認しておきましょう。とくに高度なセキュリティ対応が求められるシステムが必要なのであれば、入念に取り決めを確認してください。
SaaSのセキュリティ対策の更新が不要なため
セキュリティ対策の更新を任せられるのもSaaSの強みです。インターネットセキュリティの世界では、目まぐるしい速度で新たなサイバー攻撃の手段が生みだされ、既存システムの脆弱性を攻撃されます。そのため、ソフトウエアのアップデートが欠かせませんが、専門知識がないと現状のセキュリティレベルの把握とアップデートなどの対応は困難です。
しかし、SaaSを使用していれば、提供する企業がアップデートの更新を定期的に行ってくれます。そのため、セキュリティ対策に割く時間と労力を大きくカットできることから、本来の業務により多くの人的資源の投入が可能です。
機能や扱う情報に応じ、SaaSのセキュリティ対策を徹底しよう
SaaSのリスクとその対策、利用するメリットなどを紹介しました。SaaSにもセキュリティ上の危険性はありますが、提供する企業に緊急対応を任せられるなどの強みもあります。また、SaaSの提供企業はさまざまな企業の業務に携わっているため、豊富なノウハウに基づいたサービスの提供やセキュリティ対策が可能です。
そのため、自社にセキュリティ対策の知識が不足している場合は、SaaSの導入を検討してみてください。また、SaaSを利用したサービスにはさまざまな種類がありますが、勤怠管理ツールを求めているSES企業には「Fairgrit®」の導入がおすすめです。
Fairgrit®には、SESエンジニアの契約や勤怠状況確認の効率化を実現する機能が多数搭載されているため、SES企業がバックオフィス業務にかける業務時間を短縮できます。SES業務に課題を抱えている企業は、Fairgrit®の導入を検討してみてください。
Fairgrit®メディア編集部です。
SES業界にまつわる内容をはじめ、ITに関するお役立ち情報を不定期にお届けいたします!
私どもの情報が皆さまのなにがしかのお役に立てれば嬉しいです!
当編集部が企画・執筆・公開する記事は情報の公平性・有用性・再利用性に配慮した上で、十分な注意と調査のもと可能な限り客観的 かつ 一般的な情報・状況となるよう制作いたしております。
そのため、弊社としての見解やスタンス/ポリシーとは異なる内容や記載が含まれる場合がございますので、あらかじめご承知おきください。
また、さまざまな要因により事実と異なる内容や古い情報が含まれてしまう可能性もございます。恐れ入りますが、記事中の情報につきましてはご自身の判断と責任の元でご利用ください。
(弊社 ならびに 当編集部は、当アカウントがご提供しているコラム記事に関して、明示的か暗黙的かを問わず一切保証をいたしておりません。記事中の情報をご利用頂いたことにより生じたいかなる損害も負いかねます)