SES企業にとってエンド開拓が重要な理由とは?開拓方法も紹介
SES企業の事業成長には、エンド企業の新規開拓(エンド開拓)が欠かせません。しかし、「なぜエンド開拓が重要なのか?」「具体的なエンド開拓の手順は?」といった点が気になる営業担当者もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、エンド開拓営業の必要性や方法、営業時の手順、注意点などを解説します。
INDEX
SES企業がエンド開拓をする必要性とは
SES企業が事業を継続的に成長させていくには、エンド開拓を行って受注数や受注規模を拡大し、売上を高めていくことが必要です。
また、エンド企業との直接契約数を増やすことで、利益率の低い下請け案件の受注数を減らせるため、抱えている案件数は同じでも結果的に利益率向上につながります。
利益率向上を実現できれば、エンジニアへの報酬額にも還元しやすくなり、SESエンジニアの満足度の向上や人材確保にもつながるでしょう。
SES営業の主な新規エンド開拓先の種類
SES企業がエンド開拓をする場合、いくつか営業の候補先があります。ここでは、代表的な開拓先を3つご紹介します。
エンドクライアント
エンドクライアントとは、自社主導でシステムやソフトウエアの開発を行う企業です。主なエンドクライアント先は、大手IT企業や通信会社といった上場企業となるのが一般的です。
大手IT企業や通信会社といった上場企業は、一時的に自社の開発リソースが不足した際に、SES企業に開発業務の一部を委託するケースがあります。なぜなら、一時的なリソースに対応する場合、自社で人材を採用・育成するよりも、外部から必要な人材を必要な期間だけ調達するほうが、費用や手間を軽減しやすいためです。
そのため、上場企業の開発課題に対応できるSESエンジニアを提供できれば、エンドクライアントと直接契約できる可能性が高まります。SES企業にとっては大規模案件を受注・運用する実績となり、エンジニアにとっても単価が高く高待遇の案件となり、双方にメリットがあるでしょう。
Webサービス企業
Webサービス(インターネット上で提供されるサービス全般のこと)を提供する企業も、SESエンジニアを必要としているケースがあります。そのため、エンド開拓につながりやすいといえるでしょう。
Webサービスを展開するには、開発やリリース、運用保守、ブラッシュアップ、リプレイスなどの業務が必要です。いずれかの業務において、自社のリソースが不足したり自社のリソースでは対応できなかったりする場合には、業務の一部を外注することになります。
また、Web業界は開発・運用手法、各端末・ブラウザの表現技術が日々進歩し、ユーザーニーズの変化も激しい業界です。Webサービス企業の開拓ができれば、その企業が自社では対応が難しい案件を定期的に受注できる可能性があります。
大手SIer
大手SIerもSESエンジニアの需要が高いため、エンド開拓の候補になります。
Sler(エスアイヤー)とは、システムの企画から導入、運用、コンサルティングまで、一連の業務を一貫して請け負う企業のことです。一般的に、システム開発やソフトウエア開発を主な業務としています。
SIerは複数のプロジェクトを同時に進行していることが多く、十分なリソースを確保することが難しくなることがあります。その際、リソース不足に対応する手段として、SESエンジニアを活用するケースがあります。
■関連記事
SESとSIerの違いとは?それぞれの定義や役割の違いを解説
SES企業のエンド開拓営業の方法
SES企業がエンド開拓をする場合、どのような営業方法があるのでしょうか。ここでは、エンド開拓営業の方法を5つご紹介します。
メールで問い合わせをする
エンド開拓の営業としてよく用いられる方法に、メールでの問い合わせがあります。メールは電話と異なり、受取人が自分の都合のよい時間に対応でき、相手の時間を拘束しません。また、低コストで、一度に多くの候補先にアプローチが可能です。
メールのやりとりは履歴が残るため、「アプローチをかけたかどうか」や「営業に対する先方の反応」などの確認や社内共有も手軽に行えます。営業内容の効果検証や改善もしやすいでしょう。
メールによるエンド開拓営業は、営業をかける側にも営業をかけられる側にも負担が少ない方法ですが、営業先に取り合ってもらえないことも多いため、ほかの営業施策と併用されるのが一般的です。
テレアポをする
テレアポ(テレフォン・アポイントメント)は、エンド開拓営業によく用いられている方法の一つです。営業先に電話をかけて担当者と直接、話ができれば、クライアントの課題をヒアリングできるだけでなく、それを踏まえた自社の強みや特徴、実績などを直接アピールできます。
アポイントを取るまで時間がかかることも多く、営業リソースがかかるといったデメリットはあるものの、即効性があり、潜在顧客の獲得につながりやすい手法です。
交流会に参加する
交流会に参加し、会場で営業候補先の企業と接点を持ち、それを足掛かりにエンド開拓を行う方法もあります。
IT業界やSES業界の担当者が集まる交流会なら、商談につながる課題を抱えた担当者と知り合え、優良な候補先企業に出会える可能性が高まります。
ただし、交流会に参加する人は、業界動向の情報交換やコミュニケーションを目的にしている人も多いです。そのため、交流会を具体的な営業の場にするのではなく、あくまでもクライアントの担当者と接点を持つための場として活用しましょう。
企業マッチングサービスを利用する
企業マッチングサービスを利用し、エンド開拓営業を行う方法もあります。
企業マッチングサービスとは、ビジネス上のパートナーを求めている企業同士を仲介してくれるサービスです。SESのマッチングに特化した企業マッチングサービスを利用すれば、自社の強みや特徴を活かせる案件を探したり、自社が希望する案件を募集したりできます。
企業マッチングサービスは、ビジネスパートナーを探したい企業が登録しているため、効率的にエンドクライアントとつながれるでしょう。
既存クライアントから教えてもらう
エンド開拓営業の中でも効果的なのが、既存クライアントから教えてもらう方法です。
既存クライアントは、すでに自社のSESサービスや品質について理解度が深く、信頼関係が構築されています。そのため、自社にマッチした新規クライアントを、より高い精度で紹介してもらえる可能性があります。
すでにつながりのある企業からの紹介であれば、信頼感が伝わりやすく営業のハードルが下がるため、成約につながる可能性が高まるでしょう。この方法を実践する際には以下がポイントとなります。
・紹介を依頼する際には、紹介先の条件やニーズを具体的に伝える
・紹介してもらった企業には、既存クライアントからの紹介であることを明確に伝える
SES企業のエンド開拓営業の手順
ここからは、エンド開拓営業の進め方について解説します。主な手順を整理すると以下のようになります。
1.リードのピックアップ・リスト化
2.アポイント取得のための活動
3.商談をする
4.運用フォロー
各手順に沿ってポイントを見ていきましょう。
1.リードのピックアップ・リスト化
最初に、新規開拓の候補となるリード(見込み顧客)をピックアップし、リスト化します。
コーポレートサイトなどから、企業概要や連絡先、事業の特徴などの情報を集め、リストを作成します。エンドクライアント、Webサービス企業、大手Slerなどのジャンルに分けておくと、よりターゲットに沿った営業活動をしやすくなるでしょう。
リストには優先順位をつけて、顧客管理システム(CRM)や営業支援システム(SFA)、エクセルなどで管理します。社内で共有しておくことで、複数の担当者が同じ営業先に別々に営業の連絡をしてしまうといった、よくあるリスクも回避できます。
2.アポイント取得のための活動
作成したリストをもとに、優先順位の高いリードからアポイントを取り付けます。主に以下のような方法があります。
・メールでの問い合わせ
・テレアポ
・コーポレートサイトの問い合わせフォームからメッセージ送信
SES営業では、テレアポが効果的とされています。業界や状況によっても変動しますが、テレアポの一般的な成功率は0.3%ともいわれており、そもそも担当者に電話を取り次いでもらえないことも少なくありません。しかし、SES営業の場合、SESエンジニアのニーズが高いため、前向きに話を聞いてもらえることは意外に多いのです。
自社の強みや特徴、実績、提供できるメリットを明確に伝えることでリードの関心を得て、アポイントを取り付けられるようにしましょう。
3.商談をする
アポイントを取得できたら、商談に移ります。リードのニーズをヒアリングするときは、以下のような点について聞き取ります。
・案件の内容
・エンジニアを必要とする期間と人数
・エンジニアに求めるスキルセット(プログラミング言語など)
・求める人物像(常駐先と相性の良いエンジニアの特徴) など
商談を成功させるには、商談後の連絡やフォローも大切です。商談後のお礼のメールや、ヒアリングにもとづいた提案をなるべく早く伝えるようにしましょう。
4.運用フォロー
商談が成功して案件を受注できたら、信頼関係を深めて、継続的に案件が受注できるように運用フォローを行うことが大切です。
定期的にクライアントやエンジニアと連絡をとり、クライアントの満足度向上や、SESエンジニアにとっての快適な仕事環境づくりに努めましょう。
SES企業のエンド開拓営業時の注意点
エンド開拓営業時には、知っておきたい注意点がいくつかあります。ここでは、主なポイントを4つご紹介します。
スケジュールの効率的な管理が必要
アポイントを取り付ける際は、同時に多くの企業にアプローチすることになるため、エンド開拓営業時にはスケジュール管理を徹底しましょう。
スケジュール管理が甘いと、同じ企業に別の営業担当者が重複してアプローチすることになったり、商談の予定がダブルブッキングしたりしかねません。そうなれば、相手から悪印象を持たれたり、エンド開拓の機会を逃したりしてしまいます。
営業活動の記録と共有を実施する
エンド開拓営業の記録を社内共有しておくことも大切です。営業担当者同士が連携して効率的な営業活動を実現できます。
また、営業担当者の不在時に見込み顧客から連絡があった際、ほかの担当者でも状況を把握しやすく、迅速な対応をとれるでしょう。
新規案件を獲得した後のフォローを行う
新規案件を獲得した後は、継続して案件を受注できるようにクライアントへのフォローを適切に行うのがポイントです。クライアントと信頼関係を構築し、最新状況のヒアリングなどを怠らないようにしましょう。
また、SESエンジニアの案件対応内容がよければ、その後の継続した案件発注につながります。そのため、クライアントへのフォローだけではなく、案件担当のSESエンジニアのフォローも積極的に行うことも大切です。
特に、SESエンジニアにとっては新しい環境での業務対応となるため、メンタル面のサポートは欠かさず確認することが大切です。
■関連記事
SES契約管理を効率化するには?おすすめの契約管理システムを解説
小規模SES企業の場合はエンド開拓で失敗するケースも
会社を立ち上げたばかりの小規模なSES企業の場合、エンド開拓営業は失敗する恐れがあるため積極的におすすめできるものではありません。
小規模の企業が、コネクションもなくエンドクライアントや大手Slerのように規模の大きい企業と関係を構築するには時間がかかります。また、まとまった数のエンジニアを準備できないなどの理由から、エンド開拓営業に成功しても、それほど売上につながらない可能性も十分に考えられます。
したがって、小規模なSES企業の場合には、大手企業との間に別の企業に入ってもらったほうがスムーズに案件を進められ、結果的にエンジニアの稼働率を高めることにもつながり、売上の向上が見込めるでしょう。
SES企業のエンド開拓営業はバランスの重視が大切
SES企業にとって事業の継続的な成長のためには、エンドの新規開拓により事業を拡大していくことが重要です。エンドクライアントなどから直接案件を受注できれば、単価や利益率向上が期待できます。
エンド開拓営業を進める際には、社内での情報共有や業務効率化のためのシステム導入がおすすめです。
Fairgrit®は、案件ごとの請求管理、営業事務といったバックオフィス業務の効率化を実現するSES管理ツールです。勤怠管理などSESエンジニアの管理も行え、案件に適した人材の選出やフォローが必要なSESエンジニアのリストアップも行えます。
SES企業で業務改善が行えるツールを探している方は、ぜひFairgrit®を検討してみてください。
Fairgrit®メディア編集部です。
SES業界にまつわる内容をはじめ、ITに関するお役立ち情報を不定期にお届けいたします!
私どもの情報が皆さまのなにがしかのお役に立てれば嬉しいです!
当編集部が企画・執筆・公開する記事は情報の公平性・有用性・再利用性に配慮した上で、十分な注意と調査のもと可能な限り客観的 かつ 一般的な情報・状況となるよう制作いたしております。
そのため、弊社としての見解やスタンス/ポリシーとは異なる内容や記載が含まれる場合がございますので、あらかじめご承知おきください。
また、さまざまな要因により事実と異なる内容や古い情報が含まれてしまう可能性もございます。恐れ入りますが、記事中の情報につきましてはご自身の判断と責任の元でご利用ください。
(弊社 ならびに 当編集部は、当アカウントがご提供しているコラム記事に関して、明示的か暗黙的かを問わず一切保証をいたしておりません。記事中の情報をご利用頂いたことにより生じたいかなる損害も負いかねます)