ベンダーコントロールとは?求められる人物像や必要なスキルも紹介
ベンダーコントロールとは、システム開発・運用を外注する際や、IT製品を購入・導入する際に、自社とベンダーとの折衝や調整をする業務を指します。
ベンダーコントロールを導入しようと検討している方の中には、詳しい業務内容や業務を遂行するために必要な能力を知らない人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、ベンダーコントロールの意味と必要な理由、求められる人材や必要な技術、手法を解説します。
INDEX
ベンダーコントロールとは?
ベンダーコントロールとは、システム開発・運用を外注する際や、IT製品を購入・導入する際、自社とベンダー(IT関連のシステムやサービスを販売する会社)との関係を調整する業務のことです。本来は職種名を指す言葉ではありませんが、会社や求人サイトによっては職種名のように使われる場合もあります。
具体的な仕事内容としては、まず社内の担当者から導入したい製品やサービス内容、外注先に求める項目の聞き取りを行います。そして、その内容をベンダーに伝え、指示や監視を行いながらスムーズに導入できるように管理することなどです。
また、ベンダーコントロールと似ている言葉に「ベンダーマネジメント」という言葉があります。ベンダーへの発注・業務管理を通してベンダーを管理するという意味ではベンダーコントロールと同じなので、同義語として使われることも多いです。
ただし、ベンダーコントロールには、社内の要望を伝え、成果物が要望通りに完成しているかを確認するところまで含むケースもあり、ベンダーマネジメントとは少し違った業務内容となります。
ベンダーコントロールが必要な理由とは?
ベンダーコントロールが必要な理由は、外注したシステム開発やIT製品、ITサービスのスムーズな導入を実現するためです。
システム開発やIT製品を導入する際には、各種要望が社内の各関係部署から寄せられたり、ベンダー側から要件やスケジュール調整の連絡が来たりします。このとき、関わるスタッフ全員がバラバラに意見を出したり、確認事項があるたびに関係者が集まって毎回ミーティングを設定したりしていては、効率的に業務を進めることができません。
そこで、ベンダーコントロールを通してプロジェクト全体を管理することで、進行状況や情報を一元管理し、スムーズなシステム開発やIT製品の導入を行います。情報が一元化されることで、ベンダー側との認識の違いによるトラブルも防ぎやすくなります。
会社の規模が大きくなると社内システムの量や種類も増えるため、システム開発を外注する機会も多いです。自社に適切な形でシステムやサービスを導入するためにも、ベンダーコントロールは大切な業務といえます。
ベンダーコントロールの仕事内容
会社によっても異なりますが、ベンダーコントロールには主要な仕事内容がいくつかあります。ここでは、代表的なものを4つ紹介します。
社内システム部門の窓口
社内システム部門の窓口として問い合わせに対応することは、ベンダーコントロールの仕事の一つです。システム部門における社内外の窓口となって、ベンダーや各部署とのやりとりを行います。
社内の担当者とのヒアリングを繰り返し、現場が求めていることを具体化することで、予算などを考えながら発注するベンダーを探し、そこから値段・納期の調整を行います。
また、システムが納品された後に不具合やトラブルが発生してしまった際に、ベンダーに報告して不具合の解決まで導いていくのもベンダーコントロールの仕事です。
ベンダーの課題解決
ベンダーの課題解決は、ベンダーコントロールの重要な仕事です。発注しているプロジェクトに問題が発生してしまった際に、ベンダーと一緒になってその問題の解決に取り組んでいきます。
システム開発では、納期の関係や急な仕様変更の要望など、さまざまな問題が発生します。それらのトラブルの際に、ベンダーとの調整を図ることでトラブルの解決を目指します。
また、ベンダーの能力を把握して、事前に進捗状況や作業内容を予測し、考えられるトラブルの対策を講じておくことも大切な業務となります。
納品されたシステムを精査すること
ベンダーコントロールの大切な業務の一つが、納品されたシステムの精査です。システムが納品された際、そのシステムが希望通りの仕様になっているかや、正常に動作するかを確認します。
もしシステムに問題があった際には、該当箇所の問題点や当初の要望との相違点を明確化します。これにより、ベンダーとの情報共有がスムーズに進められます。
システムを適切に評価し、その問題点を特定するためには、ITの知識が不可欠です。納品されたシステムが自社の要望をしっかりと反映しているかを正確に判断することが求められます。
ベンダーのモチベーション管理
ベンダーのモチベーション管理は、ベンダーコントロールの重要な業務です。
仕様変更や不具合の修正依頼の際に、単にクライアントとしての意見や要望を繰り返すだけでは、ベンダーのモチベーションが低下してしまうかもしれません。調整が円滑でなくなってしまったり、トラブルの原因にもつながってしまったりします。
そのため、社内の窓口としてベンダーとのやりとりを円滑に行っていくために、ベンダーと適切なコミュニケーションをとることで良好な関係性を築き、ベンダーのモチベーションを維持していく必要があります。
ベンダーコントロールに必要な知識・スキルを解説
ベンダーコントロールには多岐にわたる知識やスキルが必要です。ここでは、特に重要な4つのスキルを紹介します。
豊富なIT知識
ベンダーコントロールを行うためには、ITに関する広範囲な知識が不可欠です。
ベンダーとの効果的なコミュニケーションや、社内の要望をまとめて明確な指示を出す際に必要となります。また、細かな要望をベンダーにリクエストするときにも、専門的なIT知識が求められます。
さらに、社内の要望を的確に把握したり、社内環境をベンダーと共有したりするためには、現在の社内システムがどのような技術環境なのかも理解しておく必要があるでしょう。
問題解決能力
ベンダーコントロールにおいて問題解決能力は重要です。システム開発のプロジェクト進行中には、バグの発生や納期の遅れといったトラブルが生じる可能性があります。これらの問題を迅速に把握し、解決する能力は欠かせません。
また、将来に起こり得る問題を予測し、それを未然に防ぐ能力も求められます。予防策や解決策を事前に準備しておき、突発的なトラブルに即座に対応することが重要です。
ネットワークやサーバーに関する知識
ベンダーコントロールを効果的に行うためには、ネットワークやサーバーに関する知識が不可欠です。特に、設備やインフラ面の外注案件も多いため、これらの知識は業務の質を高める上で重要です。
ネットワークやサーバーの構築・運用についての知識があれば、ベンダーとのコミュニケーションもよりスムーズに進められます。ネットワーク関連のトラブルが発生した際にも、迅速に対処できるでしょう。
プロジェクト管理能力
プロジェクト管理能力はベンダーコントロールに欠かせません。リスク管理や進捗管理など、基本的な管理スキルのほか、問題が発生したときに迅速に対処し、プロジェクトをスムーズに進める能力も求められます。
また、プロジェクトを適切に管理するためには、ベンダーの進捗状況をタイムリーに把握することが特に重要です。プロジェクトの動向に対して常に敏感でいること、そして問題を早急に察知し、適切な行動をとる判断能力も大切なスキルとして挙げられます。
ベンダーコントロールのやりがいとは?
ベンダーコントロールの担当者は、プロジェクトの中心人物としてプロジェクト全体をけん引していきます。そのため、責任の大きい仕事といえるでしょう。
ただ、自社の複数の部署と連携しながら、さまざまなベンダーとも関わりを持ちつつプロジェクトを進めるため、多くの学びが得られる仕事でもあります。
新しい知識やスキルを習得し、多くの問題に直面しながらもプロジェクトをやり遂げることができたときの達成感は、働く上でのやりがいにも大きくつながるでしょう。
複数のベンダーとの契約に対応する方法とは?
契約するベンダーが複数になると、1社だけの場合と比べて、進捗把握や調整などの管理業務も増えることになります。複数のベンダーと契約し、効率的かつ適切に対応するためのポイントを紹介します。
ベンダー管理の専任組織VMOを立ち上げる
複数のベンダーとの契約に対応する方法として、ベンダー管理の専任組織VMOを立ち上げる方法があります。VMOはVendor Management Officeの略で、ベンダーを専門で管理する部署・チームのことを指します。
VMOを自社内に設置し、ベンダー管理を専門的に行う組織を構築することで、多数のベンダーとの契約時でも、効率的な管理が実現します。
ベンダーとの関係は長期にわたることが多いため、専門の部署が継続的にベンダーとコミュニケーションをとることで、ベンダー管理のノウハウの蓄積や人材育成も円滑に進められます。
ベンダーと契約する目的を明確にする
複数のベンダーとの契約に適切に対応するためには、各ベンダーとの契約目的を明確にすることが欠かせません。契約時には、システムのクオリティ、コストパフォーマンス、完成までのスピードなど、具体的な目的を明確化する必要があります。
明確な目的が設定されていないまま契約してしまうと、想定したパフォーマンスが得られないリスクが高まります。また、ベンダー側も要求内容が不明確となり、提供するシステムやサービス内容にズレが生じる可能性が増えます。
適切なベンダーを選定する
複数のベンダーとの契約を成功させるためには、適切なベンダーの選定が不可欠です。外注におけるベンダー選定は、極めて重要な業務となります。
選定にあたっては、導入実績や信用度を調べた上で、自社のプロジェクト内容や要求レベルに適しているかどうかを検討します。適切なベンダー選定を行うことによって、成果物の品質担保はもちろん、円滑な進行による納品期間短縮にもつながります。
ベンダーコントロールは大変でもやりがいのある仕事
自社とベンダーとの調整を行うベンダーコントロールは、幅広いIT知識や問題解決能力など、多岐にわたるスキルが求められる業務です。
プロジェクト全体を管理しつつ、さまざまなベンダーとのコミュニケーションを円滑に行いながらプロジェクトを導いていくことは、不可欠かつ大きなやりがいを感じられる仕事といえます。
今回解説したベンダーコントロールのポイントを参考に、プロジェクト管理の方法を見直すきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
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