エンジニアの評価におけるKPIとは?評価する流れも解説

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エンジニアの評価におけるKPIとは?評価する流れも解説

エンジニアの能力を正確に評価するには客観的な要素が必要です。しかし、数字で測定できない業務も多く、適切な評価に悩む企業・評価担当者もいることでしょう。

そこで今回は、エンジニアの評価に必要な基準と、KPIを用いた評価方法について解説します。適切な評価を行うことで、より効果的なチーム運営へとつながります。

エンジニアの評価に使われる指標を知ろう

組織で業務を進める中で、従業員の給料や昇進に大きく関わるのが人事評価です。その中でも、エンジニアの評価には、一般的に以下3つの評価基準が設けられます。

1.能力評価

2.業績評価

3.情意評価

それぞれどのような内容で評価するかを確認していきましょう。

1.能力評価

能力評価とは、エンジニアがどのような能力を持っているかを基準にした評価です。具体的には、プログラミングスキル、資格の取得、使用可能な言語、コーディングの知識、作業スピード、技術的独創性などが能力評価に該当します。

ITに対するさまざまな知識や技術を要するエンジニアにとって、能力評価はエンジニアに対する評価の中でも重要です。成果ではなく、個人の能力に焦点を当てた評価基準であるため、エンジニアの長期的な育成を目的とした評価にもなります。

正確に能力評価を行うことで、個人のスキルや成長性などを正しく評価できるでしょう。

2.業績評価

エンジニアの業績を定量的に評価するために用いられるのが業績評価です。業績評価では、エンジニアが定められた期間中に達成できた成果や、目標達成度などを基準に評価します。具体的には、対応案件数、納期遵守率、成果物の質などが該当します。

業績評価は、客観的な評価を可能にし、人事評価の不公平感・不平等感を軽減しやすいのが特徴です。また、あらかじめ設定した目標に向けた達成度合いを評価するため、エンジニアのスキルアップや成長にもつながるでしょう。

3.情意評価

情意評価とは、仕事に対する姿勢や意欲を基準にした評価です。勤務態度や協調性、新しいスキルや技術への習得意欲などが含まれます。能力評価や業績評価では評価しきれない、業務に対する姿勢や努力、プロセスに対する評価も含まれます。

情意評価には、数値や達成項目などの明確な基準はありません。評価者の主観がウエイトを占める評価なので、公平公正な評価を行うためには、評価する側も注意が必要です。しかし、エンジニアの人柄や意欲を見る際には重要な評価基準になります。

エンジニアの評価でKPIを設定する意義

KPIは「Key Performance Indicator」の略称で、日本語では「重要業績評価指標」と訳されます。業務における最終目標に対して、達成状況を定量的に評価するための指標です。KPIは業種や業務によって異なり、システム開発の場合には「進捗率」「稼働率」「生産性」「エラー件数」などが該当するでしょう。

KPIを実現するために、たとえば進捗率であれば「いつ着手し、どこまでの業務をいつまでに対応していればいいのか」や「どの程度の稼働率で業務を行う必要があるのか」などの目標を設定することができ、目標管理が可能になります。

KPIで設定された目標は、人事部門や評価者だけでなく、評価されるエンジニアとも共有するので、日・月単位で行うべき業務内容や業務量が明確になることが特徴です。

ここからは、KPIを設定してエンジニアを評価するメリットを解説します。

エンジニアのモチベーションアップにつながる

エンジニアの評価でKPIを設定するメリットのひとつは、エンジニアのモチベーションアップにつながることです。

通常、プロジェクトの目標設定はプロジェクトの上長が行い、タスクがプロジェクトメンバーに割り当てられます。しかし、行うべきタスクを伝えられるだけでは、その業務がプロジェクト全体にどのように貢献するのかが明確でなく、モチベーションにつながりにくいです。

そこで、KPIを設定することで、自身の業務がどのようにプロジェクトに貢献するのかが明確になります。エンジニア自身の貢献度合いを可視化できるため、自分の成果に対してやりがいを感じることができ、モチベーションアップにつながるでしょう。

エンジニアのスキルアップにつながる

エンジニアの評価でKPIを設定することには、もうひとつメリットがあります。それは、エンジニアのスキルアップにつながることです。

一人ひとりのエンジニアと目標設定を共有するので、その目標を達成するために必要な業務スキルや不足しているスキルが明確になります。エンジニア自身が成長するための意欲を持つ環境が自然と生まれやすいでしょう。

ただし、KPIを設定するためには適切な目標設定が必要です。とても達成できそうにない高すぎる目標を設定してしまうと、逆に業務に取り組む意欲を失いかねません。「ノルマ」として受け止められてしまえば、ただ業務をこなすだけになってしまう恐れもあります。そのエンジニアのスキル・性格なども考慮して、実現度が見込める範囲で設定するのがポイントです。

企業の生産性が向上する

エンジニアの仕事において、KPIを設定することは企業の生産性向上にもつながります。なぜなら、KPIの設定によって、エンジニアがどのような成果を出すことが期待されているかが明確になるからです。その結果、エンジニアはその目標を達成しようと、より意欲的に業務に取り組み、高い成果を挙げることが期待できるでしょう。

また、KPIを設定することで、エンジニアの業務成果を明確に評価できます。KPIが達成されているかどうかという視点で評価を行うことで、エンジニア自身や上司などの評価者が、根拠のある適切なフィードバックを行うことが可能です。このフィードバックのおかげで、エンジニアはさらに高いレベルの成果を出しやすくなり、企業の生産性が向上することが期待できます。

KPIを用いてエンジニアを評価するための具体的な方法

エンジニアを評価する具体的な方法としては、以下が挙げられます。

・評価する目的を定める

・評価する指標を作る

・評価する項目を決める

どのような評価方法か詳しく確認していきましょう。

評価する目的を定める

エンジニアを評価する際には、目的を明確に定めることが重要です。以下のような流れで進めます。

1.KPIを設定して、業務のゴールを明確にする

2.中間目標を設定し、目標達成に必要なプロセスを細分化する

3.「どのようなことをいつまでに行うのか」計画を立て、タスクを設定する

4.進捗の進み具合でエンジニアを評価する

評価を行う側も、エンジニアを評価する目的を明確にすることが必要です。第一の目的は、エンジニアに対して正当な評価を行い、適切な報酬を設定することです。また、「今後のプロジェクトメンバーを選出するため」や「マネジメント職への推薦者を決めるため」など、第二、第三の目的もあるかもしれません。

評価する目的を明確にすることで、エンジニアと評価を行う側の双方が同じ目標に向かって協力し、効果的な評価が可能になります。

評価する指標を作る

KPIを用いてエンジニアを評価するためには、評価指標を作ることが必要です。

まず、能力評価、業績評価、情意評価などの評価基準を作成します。エンジニアの場合、基礎能力と応用能力などに細分して区別するなど、より詳細な評価基準を導入することで適切な評価につながるでしょう。

また、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の評価指標として、ITSS (IT Skill Standard) という指標があります。ITSSとは、エンジニアをレベル1からレベル7まで段階を分けて評価する、IT人材に対するスキル体系です。社内で評価指標を作る際にも参考になるでしょう。

参考:2.ITスキル標準とは -ものさしとしてのスキル標準 | デジタル人材の育成 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

評価する項目を決める

KPIを設定するにあたり、業務内容に応じた評価項目を決める必要があります。たとえば、プログラマーやSE、PMなど、職種によって求められる能力やスキルが異なるので、それぞれの業種に適した評価項目を定める必要があります。

具体的には、プロジェクト管理能力、コミュニケーション能力、折衝力、要件定義能力、設計能力など、その業種に必要な能力を評価項目として決定することが重要です。このように評価項目を明確にすることで、より公正で正確な評価を行えます。また、評価項目は定期的に見直し、改善することも大切です。

エンジニアを評価する際に注意すべきポイント

エンジニアを評価する際には、以下のような注意点に留意する必要があります。

・プロジェクトにおける役割を明確化する

・取り組む姿勢を評価する

・エンジニアの自己評価と照らし合わせる

・目標達成の方法を明確にする

それぞれのポイントについて解説していきます。

プロジェクトにおける役割を明確にする

エンジニアを評価する際には、プロジェクトにおける役割を明確にすることが重要です。役割を明確に分担することで、誰がどの作業を行ったかを正確に把握し、業務完了の成果の貢献度合いを適切に評価できます。

たとえば、同じ業務を複数のエンジニアが担当した場合、役割を明確にしないと、作業内容が重複したり、抜け漏れが生じたりすることがあります。その結果、エンジニアごとの貢献度合いを正しく評価することが難しくなってしまうのです。

役割を明確に分けることで、エンジニアごとに作業内容が絞られ、プロジェクト内での貢献度を評価しやすくなります。また、エンジニア自身がプロジェクトでの役割を認識することで、目標設定を行いやすくなるでしょう。

取り組む姿勢を評価する

エンジニアを評価する際に注意すべきもうひとつのポイントは、取り組む姿勢を評価することです。エンジニアは、チームで協力してプロジェクトに取り組んでいます。したがって、怠慢な態度はチームのモチベーションを下げ、逆に熱心な態度はチームのモチベーションを高めることにつながります。

また、取り組む姿勢が優れているエンジニアは、作業効率に対する意識が高く、仕事中のミスも少ない、もしくは改善してくれる傾向があるでしょう。ただし、働く姿勢だけを評価するのではなく、エンジニアのプロジェクトに対する貢献度と照らし合わせて総合的に評価することが大切です。

エンジニアの自己評価と照らし合わせる

エンジニアの自己評価が妥当かどうかを確かめるために、ヒアリングの機会を定期的に設けることも大切です。プロジェクトで果たした役割や目標の達成度を確認し、自己評価と認識を合わせることで、適切な評価ができるでしょう。

ただし、自己評価だけを重視するわけではありません。プロジェクトでの成果や貢献度が低ければ、その分評価を低く設定する必要があります。エンジニアの自己評価を参考にしつつ、客観的な視点から評価することが大切です。

目標達成の方法を明確にする

エンジニアを評価する際には、目標達成のための具体的な方法、つまり手順を明確にすることも重要です。まずは、個人で目標設定が完了したら、その目標を達成するためにはどのような手順が必要なのかを洗い出しましょう。

たとえば、「年間の作業件数を○○件数以上にしつつ、エラー件数を○%以下にする」という目標を立てた場合、エラー件数削減のためにチェック工程の頻度を増やす必要があります。このように、目標達成に必要な具体的な作業や工程を確認することが大切です。

目標達成までの道筋を具体的にすることで、やらなくてはならないことが明確になります。さらに、個人の目標達成のための手順を明確化することは、システムの導入や予算の確保など、プロジェクト全体の工程を明確にすることにもつながります。

KPIを設定し、エンジニアを正しく評価しよう

業績目標や達成度を評価するKPIを設定することは、日々の業務内容の明確化や成長に向けた努力を促進します。これにより、エンジニアのモチベーションアップやスキルアップが促進され、生産性向上にもつながるでしょう。そのため、エンジニアを評価する際には、KPIを使って適切な評価を行うことが大切です。

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